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「俊水」の掲示板
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投稿読者 ご紹介
2014/11/19

(その壱) 目黒の 錢形 警部補 さま

やい 三文作家!
オメ やっぱし 正体はソリ引きのゴーシュ犬だったな。

どーも調子のいいヤロだと思っていたんだあ。
イヌイットのキャンプからアザラシの生肉を積んだソリがごっそり行方不明になって、先頭のゴーシュに似た犬に引っぱられた一隊が氷の海を渡って西へ行ったという通報からもう15年にもなる。

数年めえ、木ゾリの化石が中露国境のアララット氷河で見つかったとき、一時はノアの方舟の一部だと大騒ぎされたが木質の残留宇宙線年代測定から北アラスカ産ドロヤナギの木と判明して迷宮入りとなった事件。
あれはオメの仕業に違げえあるまい。

対共産COCOM統制により禁輸だったあの辺りの民族にアザラシ肉を大量横流しして得た金を元手に、日本でちゃっかり作家ズラしていたとはなあ。
仲間の犬はどーした。 最近ニュースを賑わせておる放棄犬とは犬種が違うようだが知っていることがあるのでねーか?

ええが 三文! 世間は忘れてもインターポールに時効はねえーど。
おらの目が黒いあいだは陸奥だろうが蝦夷だろうが、地の果てまでもオメを追い詰めるかんな。


(その弐) 目白のお方さまこと 色白の 峰 雪子 さま 

三文さん、目黒の旦那、 駄洒落もたいがいになされまし。

「メリヤスのももひきを取ってめえりやす」 

って、 たったこれだけを言いたくて前号を長々と書いたのでございましょう。
んなの、 ソリがごっそり と大して変わりませんわ。 ソロ弾きゴーシュ に至りましては論外でございますわねえ、余りものの合酒などしかお飲みになれないのでございましょうか?


(その参)

「なんだとぉー 峰 雪子ぉー! オメも仲間かあーっ。 インターポールの星 錢形平蔵 さまを愚弄するとはいい度胸だぁー」

「あ〜んらぁー 素読経でごめんあそばして。 摩訶般若波羅弥陀 オホホ」 

(係り)
きりがないので読者登壇を強制的に終わります。

おしぐれさんの 黄金伝説 2
2014/11/12

おしぐれ自転車工房のドアを外側から閉めたものの鍵がどこにあるのかわからない。
作家が訪れたとき小屋のドアは無施錠だった。
窓からの日差しが直射しない場所がコルナ号の定位置なのだがそれが消えている。 おしぐれさんは不在、そーゆーことが確認されただけだった。

中に入ったとき、思いのほか整理整頓された部品棚に例のTANITAの電子天秤を見つけた。
この棚に載っているものは、この小屋ではVIPな処遇を受けている数少ない高級機器なのだ。
なにかデータが残されていないか電源をONしてみると、液晶の窓が数秒間パラパラと点滅して天板にのしかかっている北緯の重力の補正を終えたあと精密天秤は0を示して静止した。
メモリは消去されたらしい。

おしぐれさんの魂の重さ、あるいはコルナ号のフレームに隠された黄金の重さを示したであろう怪しげな数値の記憶を期待したのだが、そんなものはもともと無いものなのかなにも解からなかった。

「さぁーて どぉーしたものかいのぉー。 探しに行くといってもなや みちのくの奥の奥の陸奥の国とはまた、やっかいなところを徘徊しとるもんだでや。 こっちが遭難してしまうで」

閉めたドアノブに手をかけたまま天を仰いでいると路地にクルマが入ってくる音がした。

「ぎょっ! 団〇屋のなー〇さんではあるまいな。 黄金がことのほか大好な彼のご仁はスーパー地獄耳レーダーとハイパー嗅覚センサー『ジャッカル』を駆使してやって来るから油断ならんでよ」

入ってきたのは団○屋の金マークがドアの中央にデンと印された黒ベンツではなく、この界隈ではとんと見慣れぬビビットカラーのプジョーだった。

「ああ よかった。金印のご仁とはなるたけ関わり合いたくないでよ」

こ洒落たプジョーはこの路地におよそ似合わない真っ赤な外装、ぴったり閉めた電動幌は漆黒である。 おしぐれさんの処にこーゆークルマが来るはずがない。
作家は天を仰いだまま無視することにした。

だがタイヤ音はおしぐれ工房のドアの前でシカトする作家の背後で止まった。
ふり向くと新品のスノータイヤから新しいゴムの匂いがした。 降りてきたのは小柄で上品な婦人だったがプジョーは彼女の重み分の車高を取り戻してもまだ後部に重みをのこしていた。

皮のブーツがコツコツと規則正しい音をたてて近づいてくる。
おしぐれさんが独りでこの小屋に暮らすようになって以来、この界隈では久しく聞いたことのない香しき品格音である。

「はぁーん やっぱりおしぐれさんの知り合いでではないね、きっと路地を間違えただけだ。
もしかしたら置きっぱなしのトランポの駐車料金を取りに来たパーキングのオーナーかも知れんなあ」

「あのもし こちらはおしぐれさまでございましょうか 左様なれば 奥さまにおめもじはかないましょうや?」

あちゃー おしぐれさまにおめもじだってよ〜。
古典噺のたらちねさまみたいなお方さまが来ちまったぜ、どーよ これ。

「はいはい 確かにおしぐれ庵に相違ございません、ですがお方さま 当草庵のあるじは留守でございます。
それにね あのへっぽこ坊主に奥さまなぁ〜んて洒落たものがおらすはずがねぇ〜でございましょうよ。
あっしも探しているのでございますがね、どーやら陸奥の国あたりをほっついておるらしゅーございますです」

「あら 陸奥でございますか 北海道ではありませぬか?」

「へっ! 北海道? 北海道は 水曜どーでせう でしょう」

「みどもの主人がJR貨物北海道に長いことおりまして、先年退職をしてこちらに戻ってからは どういうものか おしぐれさまとよく連れ立って出掛けておりましたのよ。
それゆえ、今頃は雪の広軌道を自転車トロッコかと思っておりましたわ」

「自転車トロッコ? そらぁー なんだす?」

「あら あなた知りませぬか? ザラ板張りの保全作業車に自転車を取りつけた軌道トロッコですわ。
雪の季節になると全面運休する貨物線でトロッコ三昧するのが主人の長年の夢でしたのよ。 凍ったレールは走行抵抗が減って面白い動きが楽しめるのだそうです。  
主人が設計して製作をおしぐれさまが担当なさったファンタスチックなスーパーカーゴバイクですのよ。
制作には資金と広大な敷地が必要でございましょう、 あたくしね、裏庭に栽培していた里芋畑のほんの一部でございますけれど作業場に提供いたしましたのよ。 オホホ」

「びぇ〜 お方さまは あのレールマンさまの奥方さまでございましたかぁー」

昔からの読者はご記憶であろう。
バックナンバー 36 「四季咲き桜」 〜 30 「レールマンの逆襲」 あたりに登場していただいた北の亜鉄人 レールマンである。

自転車では超へたれな足手まといの定年オヤジという設定であったがなぜか奥方は大金持ちで、やんごとなき定年オヤジはなぜか文無しのおしぐれさんと馬が合った。
おしぐれさんに叱咤されながら土手のロードをふらふらと行く際のエナジーフードであったあの 『里芋煮っころがし』 の料理名人が、目の前のお方さまである。

「あたくしねぇ 主人の特殊体型に合わせて毛糸の冬用インナー手袋と腹巻き付きももひきを編んだのでございますのよ。
出発には間に合わなかったけれどやっとできました。
あのひとクレジットカードもバンクカードも持たない主義でございましょう そろそろまとまった現金が必要かと、届けに参るところでございますのよ」

びぇーっ! プジョーのトランクが下がって見えるのは現金の入ったジュラルミンケースの重みなのか。
TANITAのハカリでは計り切れないまとまった現金っていったい?

「届けに行くに際し、おしぐれさまのものも預かって参じましょうかと本日はまかりこしましたがお内儀さまはあらぬと、そのようなご事情は存じませんでした。
あなた、えーっと 三文作家さんでしたわね。 ええ存じておりますとも、団塊屋さまの 「相談 相続シリーズ」 のついでに 「団塊仲間」 も読ませていただいておりますもの。 オホホ」

「びぇ びぇ〜」

「よろしければ同道されません? あたくし陸奥の国は不案内でございます」

「びぇー されます されます。 陸奥の国だろうが蝦夷の国だろうが女護ヶ島だって、里芋団子をいただけるなら喜んでジュラルミンケースのお供をさせていただきやす、猿とキジには内緒でっせ ワンワン。
けんどお方さま ちびっと待ってやんなせえ、あっしも犬ゾリ用の皮軍手とメリヤスのももひきを取ってめえりやす」 


伝説 2 おわり

おしぐれさんの 閑話休題 「津軽といえば太宰でしょう 今は吉幾三なの?」
2014/10/30

おしぐれさんの動静がこのところつかめない。
少し目を離すとこーなのだ。

彼のひとの不可思議性を飯のタネとする作家のワタクシは、あせって携帯電話にメールを打ってみた。

「こちらはNTTドッチモコッチモです、お客さまが送信された名人**さまの携帯端末からは現在スリープ信号が断続的に発信されております。
従いましてこのまま送信を継続した場合には受信拒否のブラックアウトに陥る可能性が極めて高く、当社と致しましてはご利用者さま保護の観点から本メッセージを発信者さまにお返しいたします」

こーんなサービスがいつから出来たのか作家は知らんがこれはイカン。
あのひとが母親の生家があるという月や幼少時に放逐されて怨みがあるという冥惑星に向けて報復の旅に出てしまわないうちに、小品でいいからもう一編だけつき合ってもらいたい。
せめてその作品がノーベル文学賞にノミネートされるまでは地球に留まっていただきたい。

ノミネートだけでいいからさあ。 おたがい気が済むべ。

二考三考万考するうち、ALSOKの盗難自転車追跡システムのチップがおしぐれさんのコルナ号に埋め込まれているのを思い出しました。
ALSOKからの返答はこうでした。

「ご依頼の探索目標機器の現在位置は青森県浅虫温泉付近、微動しつつ国道4号線上を北東に向かっております。なお機器のバッテリー残量わずかであります。
ここまでの航跡をトレースしますか? 個人情報保護に関する諸書類の完備が条件となり、別料金の課金に同意が必要です」

おいおいおいー もうじき雪が積もろうという青森をなんだってさ迷っているだに。
あいーっ! もしかして 下北の仏が浦を目ざしているのではなかろうな。 カヨちゃんに会いに行ったのではなかろうな。

「よせーっ! おしぐれさん、死ぬぞーっ」

というところで作家は目が覚めた。 初冬というのに汗びっしょりである。
関東は暖かい日が続き、おまけに一杯飲んで昼寝中の夢だから汗びっしょりでもまあいいか。

さっそくおしぐれさんの携帯に電話した。
案の定というか恐れていた通りというか、震える携帯の画面には 「捕捉できません」 のマークが示されていた。


つづく

おしぐれさんの 閑話休題 「黄金伝説」
2014/10/31

あのアナログなおしぐれさんが今秋、似つかわしくないデジタルな変なものを買ったというウワサです。

変なものとはハカリだというのです、それもプロのパン職人用のハカリ。 変でしょう。
謀りなら驚きませんね、はかりごとならあのひとの仕事ですから。 

ですが今回のハカリは 「秤」 のハカリだというのです、驚きです。
「秤」 は重さを量るものですよね、長さを計るものなら 測り でしょう。
なにか悪いものに憑りつかれたのでしょうか、 0.1グラムの違いを瞬時に識別する超精密電子機器だというのです。

しかもそれは高級パン職人が使うものだという。
メーカーはデジタルかつハイパーなことで有名なTANITA。 「タニタ社員食堂」 で高名を馳せるあのTANITA の超精密 「 電子天秤 」

なんと Amazon で取り寄せて 楽天カードの一括払いにして ヤマト運輸の精密機器運搬用エアサス車指定で届けてもらったという。
例のヴァチカンのVISAカードでは贅沢品と判定されてアラートが光り、「どこでもVISA」 効果が発揮できなかったのでしょうね、チャーター便エアサス指定だもの。

聞くだに恐ろしきこのウワサ。
楽天のカードを持っていた。ということも相当に驚愕ではありますが ‥ なんだってまたそんなハカリを?

まさかオノレの魂の重さを量ろうというのではありますまいな。
とうとう そーゆー心境に達したのですか。
そりゃーもう神の領域でっせ。

おしぐれさんが俗界を解脱して、あのひとにとっては紙一枚へだてたところにあるのであろう神の領域側に行ってしまったら ‥ ええ みんなで手を振って見送ってあげますがね。
その場合あの自転車は誰が相続するのでしょうか?

できることならVISAカード のほうを相続したいものでございますが ‥ 。 
どーでしょうか、月に返すことになるんでしょうかねえ。

アレは遠い昔、小僧の旅に出るおしぐれさんにお母上が持たせてくれた不思議なカード。 名前は 「どこでもVISA」
おもて面の図案は どらえもん のような猫のようにも見えます。

若いころかぐや姫だったお母上は、おしぐれさんを産んだころにはマリアと名乗っていました。 洋風になった理由はわかりません。
カードは月から持参してきたモノですから猫ではなくウサギなのかも知れませんね。
「本当に困ったときにだけ使いなさい」 と細紐で首にかけてくれたそうです。

旅に出たおしぐれ小僧はお椀の舟や鮫の背に乗って中国大陸に渡り、さらにチベット山中をさ迷った末にラサにあるラマの聖地ポタラ宮に辿り着きました。
ええ あのひとの回顧話しですからこの辺りのことはラサっと書いておきます。

門司に見せたこのカードが功を奏し、ポタラ宮謁見の間に通されたのです。
薄汚れた小僧を一目見た第77代ダライラマ師、何を思ったものでしょうか 「ご法度一切お構い無し」 という超法規的厚遇の居候を許されました。

以来三年の間、おしぐれ小僧は読経もせずにチベットの野山を駆け回り、犬猿雉それに熊どもと遊んで動物語を会得しました。
未確認ですが雪男とも親交があって、一緒に氷河のなかからテラノサウルスの骨などほじくり出してはその髄をかじっていたらしいです。

そーやって遊び呆けている間に小僧は大きくなって、お経も読めないくせにカラダだけは中僧になりました。
テラノの髄はいわゆる 「不老不死」 のドーピング効果があるといわれています。 もちろん未確認です、おしぐれさんがテラノの髄で大きくなったのが事実なら大変なことですから曖昧でいいのです。

さてさて仏の顔も三年。 四年目には 「居候年季明け」 を理由にさらに西にむかって旅を続けるがよろしかろうということになりました。

旅立ちの朝、こちらもスーパーなお方であるダライラマ師は小僧のときから第78代ダライラマでございます。
「なくさないように」 と細いお数珠の紐をくだんのカードにおんみずから通してもらいました。
 
数珠玉は緑色金剛遍石 まあブルーダイヤモンドですわいな、ヒマヤラ原産の名品です。
台湾の故宮博物館に秘蔵され厳重に仕舞い込まれていると伝わる宝物、紅色金剛遍石の数珠は姉妹品の妹のほうです。

そしてその玉を編んでいるのはチベット高山ラマ山羊のヒゲを撚って作られた丈夫な紐です。
紐を通すためカードの角の小孔を広げた道具が今もポタラ宮に残っています。
南氷洋の幻獣、イッカクの角をドリルしてやっと孔を広げたときに飛び散った粉はなぜか地面に落ちず、西の空に消え残る月に向かってゆっくりと昇って行ったそうです。

そーいえば最初の孔をおしぐれさんのお母上はどーやってあけたのでしょうねえ。
線香の先の火を押し当ててあけたとか? まさかねえ、チベットでは一角獣の角のドリルでやっとでっせ。

その後遍歴したヴァチカンでは、先々代のローマ法王がカードの裏にサインをしてくれました。
なので限度額だの有効期限だの そーゆー細かいことはいーのです、なんたって超法規なのですから支払はヴァチカン持ちです。

ですが律義なおしぐれさんはこのカードで贅沢品など買ったことはありません。
ヴァチカン時代には小僧仲間のベニーとよく自転車で地中海ロードを南に走って行ったものです。

ヴァチカンの小僧さんはどこに行っても超人気ですから人々が集まってきます。 日本では一休さんがそうですね。
はるかアフリカから吹いてくるシロッコ風に金髪をなびかせるビキニ美女たちと一緒に、浜辺の屋台で冷たくて気持ちのいいソフトクリームと帰り道のエネルギー源フィッシュ&チップスを買うときカードを使った程度です。

ベニーはのちのベネディクト2世法王となぜか同じ名前ですが、ええ もちろん別人ですとも。

日本に帰るおしぐれさんに、「これに乗って行け」 とベニーは気前よく黄金のコルナゴをくれました。
じつはこの自転車、タダモノではありません。 ヴァチカンの宝物ですから金の資産価値もさることながら歴史的文化価値ははかり知れません。

ですがベニーはなぜか宝物殿の合い鍵を持っていたのです、法王の自転車メンテ係だったからいいのかも知れませんね。
もしかしたら、ベニーはナチス軍が侵攻してくる前にヴァチカンの宝物を世界各地に分散させることを願ったのでしょうか。
内緒ですが、現在のヴァチカン宝物殿に所蔵され公開されているアレはレプリカです。

おしぐれさんのコルナ号、本物論争は物議の元ですからさておきましょう。 フレームにメッキされた黄金は今はほとんど残っておりません。
フランスノルマンディー海岸経由で走って来た大戦終期のロマンチック街道や、中央崑崙山脈を越えてアジアンロードへと続くシルクロードの秘境エリアで、飢えと寒さを助けてくれた村人に黄金を少しづつ削って渡したからです。
ですが近寄ってよく見ると、コルナゴ鍛冶工房の刻印である三つ葉クローバーの凹みのところなどに、うっすらと金色が光っています。

おしぐれさんのコルナ号が一般庶民しもじも用コルナゴ車よりも重量の点で不利とされるのは、じつにこの黄金メッキの重さなのです。
ヴァチカン出発時は相当重たかったでしょうねえ。

まだ若かったからアルプスを踏み越えて来れたんでしょう、もしかしたらテラノサウルスの髄のドーピング効果なんですね。
大戦当時だけ開催が休止されたツール・ド・フランスですが、その間たったひとりだけでツールを走り続けたのがおしぐれさんです。しかもアジアンロードを走り継いで日本まで。
不老不死のテラノサウルスの髄をかじったチベットラマ小僧のドーピング効果は果てしないのでございます。

自転車は日本に近づくにつれ軽くなってゆき、同時に速度が上がっていった訳ですが、
金ぴかのままロシアや朝鮮国境近くを通っていたら、無国籍山賊どもに追われたとき重くて逃げ切れなかったことでしょう。
今でも逃げが決まったときのおしぐれさんは速いです。

さて楽天カードで買ったという超精密電子天秤。
おしぐれさんの魂とはいったい何グラムなのでしょうか。

フレームに残った金の重さを計って田中貴金属店の現在レートに照らそうと、そーゆー魂胆のタマシイの重さとは?
恐い物見たさ半分、おしぐれさんの精神安寧の心配が半分。 しかしながら真相を究めるのは作家のつとめ。

つとめを果たすには今生の覚悟というものが必要だ、 楽天カード決済のケツを持つ覚悟のことだ。 恐るおそる様子を見に行った作家がそこで見たものとは ?

というのが本欄がハードカバーの本になったときの、重厚な作りの装丁に巻く黄色い帯です。 もちろん金箔製です。
たいていの場合は帯に書いてあるほどの衝撃の真実など、そうザラにはないのが普通です。 アレは本屋の担当の創作なんですわな。

ですからデジタル表示の電子ハカリなど、今どきのママさん主婦なら哺乳びん用に台所に持っているのが普通でしょうや。
でも 哺乳びん用なら 0.1g なんて変に細かいこと言わないほうが好まれますよねえ。最少単位は 1g でいいでしょう。
アバウトな計量のミルク濃度でも日本の赤ん坊は立派に育ちます。 そのように森永と明治は心を砕いて乳製品を作っています。

そんなことより大切なのはミルクの温度なのです。
ミルク温には熱燗ぬる燗とありますが、父親とさらに祖父の好みが赤ん坊にもあらわれます。 ただし冷やはいけません。
冷やのミルクで育った赤ん坊は大きくなったときに、「冷徹の投機株診断」 で知られる団〇屋の なー〇 さんのよーな ‥ オホン 温厚な紳士にはなれません。

おおーっと あの紳士にはコルナ号に秘められた黄金のハナシを聞かれてはなりません。
作家は開けっ放しの自転車小屋の戸を閉めるために立って行きました。

伝説 1 話 おわり。

おしぐれさんの 「 心拍は行 」 カンファレンス 2
2014/08/28

おしぐれさんの 「 心拍は行 」
そーゆー症病名は一般化しておりませんが勤務先のカンファレンスルームでは、以前よりなーんとなく使われております。

今後はわたくしの当掲示板が仲立ちの役目を果たし、医療界のみならずスポーツ界、特にロード自転車の世界でいち早く認知と理解が進むことでしょう。

わたくしは決してご褒美が欲しいワケではございません。ですが奨学金という名目であるならばその受け取りについては、いささかの やぶさかさ もございませんこと明言する勇気をとうに乗り越えておりますこと、はからずも当欄にて申し上げる機会を与えてくだすった団塊屋様には心より感謝申しあげる次第でございます。

さて前号カンファレンス 1 では、心拍計機能塔載のサイコンが写ったコルナ号のハンドル部写真を上程しております。
これを団塊屋様に間借りしております俊水掲示板の画像で見ましたところ、バーテープの巻き終わりを処理したテープの 「しわ」 がとても見苦しく写っています。

これはいけません。 これでは テープ巻き作業を請け負ってくれたおしぐれ工房店主の 「手わざ」 がまるでダッサイみたいな印象です。 これはいけません。 恩義をアダで返すことになります。

恩義に報うことを仁義という。

「この クソろくでもない 腐りかけた地球を救うことのできる 唯一のマインド が仁義だ」

あの高名な缶コーヒーCM出演で一躍時代の寵児となった 似非宇宙人の Mrジョーンズ でさえも あクソ甘いだけの缶コーヒーのコマーシャルでそう言っています。

写真はわたくしのカメラが写したものですが、責任はひとえにわたくしの N○kon カメラが正直者だったということで、そーゆーことではペテン協会の公式推奨カメラ ・ ナンバーワン の座を新参者の S○NY に奪われてしまいます。

N○konから若干のサポートフィを受け取っているわたくしは、このままにしてはおけません。 仁義は宇宙のカナメですからねえ。

そこで先ほど、くだんのテープ (バーテープの巻き終わりを固定するほうのビニールテープ) を巻き替えて再度写真を撮りましたので上程いたします。
おしぐれ工房店主には内緒です、わたくしが深夜にそーっと巻き替えました。
カンファ 1 の写真と見比べていただきたいと思い、このような時刻に失礼とは存じますが急ぎ送らせていただきました。

出来ればこちらの写真と差し替えていただきたいが、おしぐれ店主には気取られないようにしなければなりません。

わたくし、これでけっこう気を使っているのですよ。 あのひとは今のところ病人レベルの心拍は行者ですから夢遊的深夜徘徊者と同様のケアが必要です。
この際ですから、あのひとの奇行 (カンファ用語では他に適語がないので) について二三書き添えておきたいことがございます。

その前に、奇行と は行 とは、か行とは行の違いだけで似た発音ではありますが、似て非なるモノであること 読者諸氏におかれましてはよくご理解のこととの前提のうえに当陳述は成り立ちます。

あに? はやく陳しろ! ってかいね。 アンタ せっかちやなあ。 そーゆー生活習慣では長生きできへんでやー。

写真 (左) のバーテープ巻き終わりよりさらに内側に見えるウレタンゴムの筒状カバーようのモノは、寒冷時の力走中にアルミバー部分に思わず触れた手が 「冷やっ!」 とすることで突然起こる心拍の乱れを未然に防止する断熱アイテム。
おしぐれ工房オリジナル商品でございます。

材料の入手先はさる高名な高圧電気工事会社の利材ヤードです。 利材ヤードとはまた、廃材置き場に素敵なネーミングをしたものです。
耐電材とはいえ、宇都宮名物 「雷さま : raisama」 のさ中に果敢に走ることは対象患者以外のフツー体質のひとにはリスクが多く、当院ではあまりおススメしておりません。

参考となった出典は、極北の空に凍てるオーロラのかすかな明かりを唯一の頼りについに目標を捉えた 「ゴルゴ13」 のスコープと、静かに引き寄せて距離をクリックするカラシニコフAK‐74の銃把に巻かれたスノーバイクのゴムチューブ、とのことでした。

( 右 ) 赤いフレーム (この部分はチェーンステイと呼ばれます) に取り付けられたサイコンのセンサー部と発信機。
取り付けに際しここにもゴムのインシュレーターが被せてあるのは、赤い塗装のすぐ右側からはメッキ仕上げなのでロックタイが滑ってしまうのです。
高級フレームは何かと気を使わされます。

拡大すると、施工業者のプレートに見慣れぬsynのサインが見えます。 おしぐれさん、かがみこむのが辛くて下請けを使ったのかもしれませんね。

写真ではチェーンと重なってしまいましたが速度センサー用の丸いマグネットが見えます、センサー本体はチェーンステイの陰になって見えませんけれどマグネットの円周軌道上に位置しています。

一方のケイディンス (cadence : ペダル回転数) センサーは電池カバーのある本体部にあり、上端三角部の外側をペダルクランクが通過するたび 1 パルス発信します。
なおクランク内側にはネジ穴加工を施してマグネットをねじ込んであり、ロックタイでダサく取り付けている一般選手とは一線を画す突起のない機能美、かつ優雅な仕上がり。
クランクは絶えずクルクル回すものだけに空気抵抗の低減効果は計り知れません。

加工されたクランクの写真をお見せできないのはおしぐれ店主の意向です。 商品化を考えているみたいです。

( 中 ) 胸に装着する心拍計のチェストセンサーとベルト。
今度のはセンサーだけをポチッと取り外してベルトの洗濯ができます、しなやかなので装着時の息苦しさがなくなりました。
なのに心拍数に異変が起きたのは 「心臓ペースメーカー埋設者は絶対に使用しないでください」 という注意書きと関連あるのかも知れません。 ‥ なにぶんにもあのひとはパルス星の一種である冥惑星の生まれ、そのうえペテン癖の矯正施設として地球に流されて来た流刑人ですから体内のどこかに位置情報の 「ある種のチップ」 が埋め込まれている可能性は十分考えられます。

X線検査では見つかっておりません。
たんぱく質の性状を持ち体液内を自在に浮遊動する微小生命体なのでは? と疑いを抱いたカンファ室長より機器の性能を風俗モードに切り替えて精嚢周辺の追加検査を指示されたところです。

心拍センサの女性用はスポーツブラの谷間に (あれば) 取り付けるそうです。 おしぐれさんはかつてアトランタ五輪の自転車選手村で橋○聖子選手に見せてもらったことがあるそうですが、それが後年の心拍異常の遠因となったかどうか、当カンファレンスルームといたしましては明確なコメントをいたしかねます。

その上に写っているのはただの腕時計です、ただのと言うからには 0 円です。
アスリートの汗が入って動かなくなるたび販売店に 「電池を替えてください、ハイもちろん有償でけっこうです」 と預けるとしばらくして、

「申し訳ありません、作業中に裏ブタの錆びたネジを折ってしまい電池交換ができません、代替品と交換させていただきます」
とのメーカーの丁重なるお詫びの文面とともに新品が貰えます。

コレで3個めです。
カウンターに置き忘れた保証書を思い出して店に戻ると、ドアのところに大量の塩が散かれていて近づいたおしぐれさんの目の前でガチャリと鍵の掛かる音がしました。

これって、冥惑星にいたころの古い慣習では 「玄関の送り塩」 といって、「またのご来店をお待ちいたします」 という意味なんだと、おしぐれさんは言うのです。

本当でしょうか? 団塊屋さん。

「こーゆー デリケートでコズミックグローバルな問題では、判断を誤まって未来に遺恨を残してはなんねーだよ。
ここは一丁アダマを下げてでも、冷静沈着な 『冷徹の投機株診断』 で知られる団塊屋様にお尋ねするのが一番えーんでねえべか」

左様にカンファ長のノーべる作家も申しております。
団塊屋様のみならず 北の山から様など広く有識の皆様、手数料なしでご回答いただけましたなら これぞもっけの幸いと処方に使わせていただく所存にございます。

次回はノーべる作家の作った 「着脱たったの 1 秒、超軽量&高原牧場カウベルの音色」 という自転車ベルをご覧いただきます。 売価1,750円。


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