service  HOME Service 書類作成・申請手続  

リスクと保険
保険の数理、用語
予定死亡率
  • 生命保険に入ったもののうち、何人が死亡し、保険金を支払うことになるかという数字。
    • 予定死亡率は、生命保険会社が過去の統計を基に性別・年齢別の死亡者数(生存者数)を予測し、将来の保険金などの支払いに充当するための必要額を算出する際に用いられる。
標準利率
  • 標準利率は、平成8年の保険業法改正により、生命保険会社が保険金支払いのために備える責任準備金を積み立てるうえで使用を義務付けられた利率である。
    • 標準利率は、新発10年国債の過去3年間または10年間の平均利回りなどを基に金融庁が算出し、生命保険会社が保険契約者に約束する運用利回り(予定利率)の目安としているものである。
    • 2013年4月に12年ぶりに標準利率が引き下げられた。
保険料
  • 保険料の算定に関する用語
    • 給付・反対給付均等の原則
      • 保険契約者が支払う保険料と、保険事故発生により支払われる保険金の数学的期待値が等しいことを示す原則。レクシスの法則ともいわれる。
        • 「保険料=保険金×事故発生の確率」の式で示され事故発生の確率が高いほど、保険料が高くなる。
    • 収支相等の原則(必要十分の原則)
      • 「総支払保険金」と「総保険料」の収支を均衡させることを「収支相等の原則」という。
        • 保険は、保険集団における予想事故発生率と一回の事故による予想損害額から、支払保険金の総額を予測し、これに等しくなる保険料を集団の構成員から集める。
    • 利得禁止の原則
      • 損害保険は損害のてん補を目的としており、被保険者は保険によって利得を得てはならないという原則。
    • 大数の法則
      • コイン投げを数多く繰り返すことによって表の出る回数が1/2に近くなど、数多くの試行を重ねることにより事象の出現回数が理論上の値に近づく定理のこと。
  • 個人年金保険料
    • 予定利率を高く設定
      • → 運用益を多く見込めるため個人年金保険の保険料は低くなる。
    • 予定死亡率を高く設定
      • → 年金の支払い期間が短くなると見込めるため、確定年金を除く個人年金保険の保険料は低くなる。確定年金は、あらかじめ支払い期間が確定しているため、死亡率は影響しない。よって、予定死亡率と予定利率がともに高くなると、個人年金保険の保険料は低くなる。
責任準備金の積立方式
  • 責任準備金とは、生命保険会社が将来の保険金などの支払いを確実に行うために、保険料や運用収益などを財源として積立てる準備金のことで、保険業法により積立が義務づけられている。
  • 責任準備金の積立方式には、「平準純保険料式」と「チルメル式」があるが、チルメル期間中は、予定死亡率、予定利率が変わらなければ、チルメル式よりも平準純保険料式の方が積立額が大きくなる(以降は同じ)。
    • 平準純保険料式
      • 事業費を保険料払込期間にわたって毎回一定額(平準)と想定し、責任準備金を計算する方法。
    • チルメル式
      • 事業費を初年度に厚くし、初年度以降、一定の期間(チルメル期間といい、5年、10年などの期間がある)で償却すると想定し、責任準備金を計算する方法。        

保険の用語
  • 告知義務
    • 保険契約締結の際、保険契約者や被保険者が、保険会社に対し契約上の事故発生率の測定に必要な重要な事項を告知する義務(商法644条ほか)。
      • 生命保険では重要な既往症や健康状態。
      • 火災保険では建物の構造や用途など。
    • 契約締結時の告知について、自発的申告義務から質問応答義務(保険会社が「事実の告知を求めた事項」に答えればよい)へ変更された(保険法第37条、第66条)。
      • 実務上、従来から生命保険会社では、契約締結時に、告知義務の対象となる重要な事項を告知書としてあらかじめ作成し、告知書において告知を求める[質問応答義務]の形式を取ってきた。
  • 通知義務
    • 保険契約者または被保険者が、保険契約の締結後に契約内容に変更が生じた場合、保険者にその事実を告げなければならない義務。
  • 保険金額
    • 保険金額とは、保険契約において設定する契約金額のことで、保険事故が発生した場合に保険会社が支払う保険金の限度額となる。
  • 時価額
    • 時価額とは、保険の対象である物と同等の物を新たに建築あるいは購入するのに必要な金額から、使用による消耗分を差し引いた金額のことである。
  • 全損
    • 全損とは、保険の対象が完全に滅失した場合や、修理、回収に要する費用が再調達価額または時価額を超えるような場合のことである。
保険契約者保護制度
クーリングオフ制度
  • 特定商取引法におけるクーリング・オフができる期間
    • 訪問販売(キャッチセールス、アポイントメントセールス等を含む):8日間
      • クーリングオフに関する書面を受け取った日か申込日のいずれか遅い日から、その日を含め、一般に、8日以内に書面で申し出る必要がある。
        • 申込み時点で、クーリングオフに関する書面を受け取っていなければ、申込日から起算するのではなく、クーリングオフに関する書面を受け取った目が起算日となる。
        • クーリングオフは、所定の期日内に書面で申し出ることが必要であり、所定の期日内に書面が生命保険会社に到着していなくてもよい。
          • 実務上は、申出日の郵便局の消印日付等で判定される。
  • クーリングオフを申し出て申込みが撤回された場合には、生命保険会社から保険契約者に支払った保険料が返金される。
  • 以下の場合は、申込みの撤回、解除(クーリングオフ)の対象にならない。
    • 保険契約が法令により加入を義務付けられている場合、クーリングオフの対象とならない(保険業法第309条第1項第5号)。
    • 財形保険はクーリングオフの対象とならない。
    • 保険期間が1年以下であるときは、クーリングオフの対象とならない(同法第309条第1項第4号)。
      • 保険期間が1年を超える任意の自動車保険は、クーリングオフの対象となる(同法第309条第1項第4号)。
    • あらかじめ訪問日を通知し、契約目的の訪問である旨を明らかにし、保険会社・代理店などの営業所等で申込んだ契約。
    • 申込者が自分で指定した場所で契約をした。
    • 保険会社の指定する医師による診査を受けた契約。
    • 申込者が営業もしくは事業のために締結する保険契約は、クーリングオフの対象とならない(同法第第309条第1項第2号)。
    • 預貯金口座への振込みによる方法で保険料を払い込んだ契約(保険会社に振込みを依頼された場合にはクーリングオフ可)。
    • 質権が設定された契約。
    • 更改契約(継続契約) 
      • 保険金の増額は、既契約の見直しであるためクーリングオフの対象とならない。
      • 既契約を転換し新たな保険契約を締結した場合は対象となる。
契約締結時の告知
  • 保険契約者等を保護するため、保険法の施行により、契約締結時の告知についてのルールが整備された。
    • 契約締結時の告知について、自発的申告義務から質問応答義務(保険会社が「事実の告知を求めた事項」に答えればよい)へ変更された(保険法第37条、第66条)。
      • 実務上、従来から生命保険会社では、契約締結時に、告知義務の対象となる重要な事項を告知書としてあらかじめ作成し、告知書において告知を求める「質問応答義務」の形式を取ってきた。
経営の健全性を判断する指標
  • 格付け機関による「保険財務力格付け」や「保険金支払能力格付け」
    • 格付け機関による「保険財務力格付け」や「保険金支払能力格付け」は、保険会社が約款に従って保険金の支払いを行う能力について評価したものである。
  • ソルベンシー・マージン比率
    • 「ソルベンシー・マージン比率」は、保険会社の経営の健全性を判断するための基準であり、200%を下回ると金融庁より改善計画の提出が命じられる。
      • ソルベンシー・マージン比率= ソルベンシー・マージン総額(有価証券の含み益などを含む広義の自己資本額 ×100
        通常の予測を超える危険×0.5
  • 基礎利益
    • 「基礎利益」は、経常利益からキャピタル損益と臨時的損益を控除したものである。
      • インカム・ゲイン
        資産を保有することによって得られる収入、具体的には、有価証券(株式、債券)の配当および利子収入等をいう。
        これに対し、資産の値上がり(値下がり)によって得られる収入(損失)を「キャピタル・ゲイン」(キャピタル・ロスcapital loss)という。
  • 実質純資産の額
    • 「実質純資産の額」は、時価ベースの資産の合計額から負債の合計額(危険準備金等の資本性の高い負債を除く)を控除したものである。
保険募集に関する規制
  • 損害保険募集人
    • 「損害保険募集人」とは、損害保険会社の役員もしくは使用人、損害保険代理店、損害保険代理店の役員もしくは使用人のことをいう(保険業法第2条第20項)。
    • 保険契約の締結の勧誘を目的とした保険商品の内容説明や契約の募集は、募集人登録をしなければ行うことができない(同法第275条第1項)。
  • 保険仲立人
    • 「保険仲立人」とは、保険会社から独立し、保険契約者のために保険会社との間に立って保険契約の締結の媒介を行う者をいう(同法第2条第25項)。
  • 銀行の窓口では、損害保険代理店として保険募集を行うことができる(同法第275条第2項、同法施行規則第212条の2第1項)。
被保険者からの保険契約の解約請求
  • 生命保険契約は長期にわたる契約なので、契約締結時の状態から事情が変化する事があり得る。保険法の施行により、保険契約者と被保険者が異なる場合、保険契約者と被保険者との間の親族関係の終了等により、被保険者が保険契約の申込みの同意をするに当たって基礎とした事情が著しく変化した場合には、被保険者が保険契約者に対して保険契約の解約を請求することができるようになった(同法第58条、第87条)。
未経過分の保険料の返還
  • 保険料の払込み方法(回数)が年払いまだは半年払いの場合、平成22年3月以前の保険契約では、保険料を払い込んだ期間の途中に解約等で保険契約が消滅したとき、未経過分の保険料は返還されなかった。
    平成22年4月1日以降に締結した保険料の払込み方法(回数)が年払いまだは半年払いの保険契約においては、保険料を払い込んだ期間の途中に解約等で保険契約が消滅した場合、月単位での未経過期間に対する保険料相当額が保険契約者等に返還されることとなった。
    • 月払いもしくは一時払い、または頭金制度を利用した契約の一時払い部分は、返還されない。
    • 保険法の施行により、保険料が返還されないものは、保険契約者、被保険者または保険金受取人の詐欺・強迫による取消しの場合、遡及保険で無効の場合とされた(同法第64条、第93条)。
保険契約を差押さえられたときの保険契約の存続
  • 保険契約者の債権者等が保険契約を差し押さえて、債権回収を目的に保険契約の解約を保険会社に請求し、保険契約が解約されると、その後の保険金受取人等の生活保障機能が失われることとなる。保険法の施行により、一定範囲の保険金受取人(保険契約者の親族、被保険者の親族、被保険者本人)が保険契約者の同意を得て、1ヵ月以内に解約返戻金相当額を債権者等へ支払い、かつ保険会社に通知することによって、保険契約を存続させることができるようになった(同法第60条〜第62条、第89条〜第91条)。
    • 対象契約は、死亡保険契約、傷害疾病定額保険のうち解約返戻金のあるものである。
保険金保険料請求の時効
保険関連紛争解決機関
少額短期保険業制度
  • 「少額短期保険業者」はもともと無認可共済であったものが、"保険金額が少額で保険期間が短期"なものに限り、金融庁の監督下に入って保険業法の規制を受けることで存続が認められた業者を中心にスタートした。

    「少額短期保険」と保険法

    • @保険料控除の適用がない(保険会社の保険と異なる)
    • A保険契約者保護機構には加入できない(保険会社と異なる)
    • B保険業法の規制を受け、ソルベンシー・マージン比率に基づく是正措置命令の発動の対象となっている(保険会社と同様)
    • C少額短期保険業者による保険料その他の資産の運用は、預金、国債・地方債の取得等に限られ、株式や投資信託への投資は認められていない(保険会社と異なる)
  • 保険期間の上限 生命保険・医療保険 1年
    損害保険 2年
    取り扱える保険種類と
    金額の上限
    1.死亡保険 300万円以下 1〜6の保険金額の
    合計額は、
    1,000万円が上限となる。
    2.医療保険(障害疾病保険) 80万円以下
    3.疾病等を原因とする重度障害保険 300万円以下
    4.傷害を原因とする特定重度障害保険 600万円以下
    5.傷害死亡保険 傷害死亡保険は、300万円以下
    (調整規定付き傷害死亡保険の場合は、600万円)
    6.損害保険 1,000万円以下
    7.低発生率保険
    (個人の日常生活に伴う損害賠償責任を対象とする保険)
    1,000万円以下
    被保険者数 一人の保険契約者に係る被保険者は100人以下
    最低資本金 1,000万円
  • 少額短期保険業者の取り扱う保険種類
    • 少額短期保険業者の取り扱う保険種類は、次の保険を除く(保険業法第2条第17項、同法施行令第1条の7)。
      • @人の生存に間し、一定額の保険金を支払うことを約する保険
      • A保険期間の満了後満期返戻金を支払うことを約する保険
      • B特別勘定を設けなければならない保険
      • C再保険
      • D保険料または保険金、返戻金その他の給付給付金の額が外国通貨で表示された保険
      • E保険金の全部または一部を定期的に、または分割払いの方法により支払う保険であって、その支払いの期間が1年を超えるもの
      • 従って、
        • 個人年金保険や養老保険
        • 祝い金付学資保険を取り扱うことはできない。
    • ペット保険の対象となる動物は、主なものは犬や猫であるが、実際は鳥・うさぎ・フェレットなども対象となる。
    • 医療保険には、糖尿病の治療中や不妊治療中の人でも加入できる商品がある。
    • 家財保険(賃貸住宅入居者向け商品)は、多様なニーズに応えるため、リスクが低くなる補償を省いて保険料を抑えた商品もある。
    • 少額短期保険には、旅行先の天候状態によって旅行代金を還元する保険や急病等で観覧できなかった場合にチケット代金を補償する保険などもある。
  • 保険期間
    • 少額短期保険業者が取り扱う生命保険・医療保険の保険期間の上限は1年、損害保険の保険期間の上限は2年となっている。
  • 保険金額
    • 「少額短期保険業者」の取り扱う保険金額は、被保険者1人当たり総額1,000万円以下(保険事故発生率の低い個人賠償保険は別枠とする)、
      かつ、 区分ごとに上限が定められている。ただし、2018年までは一定の経過措置が認められている(保険業法施行令第38条の9)。
  • 自動更新型の保険の募集
    • 自動更新型の保険の募集に当たってば、保険期間の終了時には保険料の計算方法、保険金額等について見直す場合があることを、保険契約者に対して、その旨を記載した書面交付により説明し、当該書面を受領した旨の署名または押印を得なければならない(保険業法施行規則第211条の30第1号)。
  • 保険契約者保護機構による補償
    • 少額短期保険は、保険契約者保護機構による補償の対象外であり、少額短期保険業者は、保険契約者に対して、その旨を書面交付により説明し、当該書面を受領した旨の署名もしくは記名押印を得なければならない。
  • 契約者等保護のための供託
    • 少額短期保険業者は保険契約者等の保護のため、必要かつ適当な額の金銭を供託所に供託しなければならない(同法第272条の5第1項)。
      • ただし、少額短期保険業者は、少額短期保険業者責任保険契約を締結し、内閣総理大臣の承認を受けたときは、当該契約の効力の存する間、当該契約の保険金の額に応じて、供託する供託金の全部または一部を供託しないことができる(同法第272条の6第1項)。
  • 税法上の生命保険料控除
    • 少額短期保険業者が取り扱う生命保険、医療保険には生命保険料控除は適用されず、損害保険についても地震保険料控除は適用されない(所得税法第76条、第77条、第120条、同法施行令第208条の3〜第212条、第213条、第214条、第262条)。。
  • 資産の運用
    • 少額短期保険業者による保険料その他の資産の運用は、預金、国債・地方債の取得等によらなければならない(同法第272条の12)。
  • ソルベンシー・マージン比率
    • 金融庁は、少額短期保険業者の経営の健全性を確保するため、「ソルベンシー・マージン比率」という客観的な基準を用いて必要な是正措置命令を迅速かつ適切に発動していくことで少額短期保険業者の経営の早期是正を促しており、その基準は保険会社と同様に200%とされている(同法第272条の25第2項、少額短期保険業者向けの監督指針平成25年3月)。
      • ソルベンシーマージン(solvency margin)=「支払余力」を意味します。

        • ソルベンシーマージン比率(%)=「ソルベンシーマージン総額」×100/「リスクの合計額」×0.5
          • ソルベンシーマージンの主なもの
            • 基金(資本金)
            • 価格変動準備金
            • 危険準備金
            • 貸倒引当金
            • 有価証券含み益
            • 劣後ローンなど。
          • リスクの合計額
            • 保険リスク、予定利率リスク、資産運用リスク、経営管理リスクなど通常予想できる範囲を超える諸リスクを数値化して算出。
        • 生命保険会社のソルベンシーマージン比率が200%を下回った場合には、金融庁によって早期に経営の健全性の回復を図るための措置がとられる。
保険の商品性
「医療保険」の商品性
  • 三大疾病保障保険においては、急性心筋梗塞を発病した場合、その疾病により初めて医師の診断を受けた日からその日を含めて60日以上、労働の制限を必要とする状態が継続したと医師によって診断された場合に保険金の支払い対象となる。
  • 交通事故で入院している間に虫垂炎を発病して手術を受け、そのことにより入院期開か延長された場合には、延長期間も含めて入院給付金の支払い対象となる。
  • 医療保険では、退院から再入院までの期間が所定の日数を過ぎていれば、同一疾病を原因とする入院であっても別の入院とみなされる。
  • 保険期間が有期である医療保険の場合、保険期間中に入院給付金を受け取ったことがあっても保険会社の定めた年齢まで契約を更新することができる。
  • がん保険
    • 責任開始日
      • 一般に、生命保険では保険会社による申し込み(契約)の承諾を前提に、契約者・被保険者が記名捺印(なついん)された申込書の提出、健康状態の告知書の提出、1回目の保険料(充当金)の払い込みがなされてから保障が開始される。
        がん保険の場合は、90日(あるいは3カ月)の「待ち期間」(免責期間や待機期間、不填補(ふてんぽ)期間などと呼ばれる保障を受けることができない期間)」が設けられている。
    • 生命保険料控除

「終身介護保障保険」の商品性
  • 保険料払込期間
    • 一時払、3、5、10、15年または55〜85歳(5歳刻み)払込満了、終身払。
  • 契約年齢範囲
    • 20歳〜85歳
  • 保険金の支払
    • 公的介護保険制度の要介護2以上または所定の要介護状態になったとき、「介護一時金」および「介護年金」が支払われる。
      • ”所定の要介護状態”とは、不慮の事故や病気で中等度の要介護状態(所定の要介護状態A)となり、その状態が(一般的な保険契約では)180日継続していると診断されたとき。
      • 「介護一時金」の支払いは、保険期間を通して1回限り。
      • 「介護一時金」と「介護年金」は、同額(基本介護年金額)

          • 公的介護保険は40歳以上の人が全員加入して介護保険料を納め、介護が必要になった時に所定の介護サービスが受けられる保険。
          • 保険料は市町村によって差がある。
          65歳以上は「第1号被保険者」 介護の原因を問わず、所定の要介護状態になった場合に保障を受けられる。
          40歳〜64歳は2号被保険者 第1号被保険者」と異なり原因が制限される。
          老化に起因する特定の病気(16疾患)によって要介護状態になった場合に限り、介護サービスを受けることができる。

    • 要介護状態が継続する限り、一生涯にわたり「介護年金」が支払われる。
    • 死亡した場合は、「死亡給付金」が支払われる。
  • 保険料払込の免除
    • 保険料払込期間中に所定の障害状態になったとき、以降の保険料払込が免除される。
  • 保険期間は、終身。
  • 専用特約の「介護一時金特約」が、同時発売された。
    • 5年ごと利差配当付介護一時金特約(利差配当付終身介護保障保険)
      • 「5年ごと利差配当付終身介護保障保険」の専用特約。
      • 公的介護保険制度の要介護2以上または所定の要介護状態になったとき、「特約介護一時金」が支払われる。
      • 死亡した場合は、「特約死亡給付金」(解約返戻金と同額)が支払われる。

「利率積立型終身保険(アカウント型保険)」の商品性
  • 「利率積立型終身保険」とは、貯蓄と保障の2つの部分で構成されている保険である。2001年以降、「定期付終身保険」に代わる保険として登場し始めた。「アカウント型」や「自由設計型保険」という名称のほうが、より一般的な名称となっている。
    • アカウント型(自由設計型の保険)は、「アカウント」と呼ばれる積み立て部分を主契約にして、定期保険や医療保険など様々な保険を特約につけられる、貯蓄と保障を分離した商品。
      積立部分を保障部分の保険料に活用したり、積立部分と保障部分の保険料割合を変更することで、転換せずに保障の見直しを行なうことができる総合保障タイプの保険をいう。
      • 保険料払込期間中の死亡保障はその時点の積立金となり、払込期間満了時にその時点の積立金を原資として終身保険や年金に移行する(積立を継続できるものもある)保険で、定期的に利率が変動する。
      • 支払った保険料は一旦すべてアカウント部分に積み立てられ、そこから特約の保険料を支払うという形になる。
      • 保険設計の自由度が高い(自由設計型)
        • 保険料は、余裕がある時は積立てを多く、逆に家計が厳しい時は少なめにしたりといった変更ができる。まとまったお金を一時投入することも可能。
        • 保障の見直しも適宜できる。
    • 第1保険期間中に死亡した場合には特約保険金と主契約の積立金が支払われるが、第1保険期間中に高度障害になった場合、主契約については積立金が支払われずそのまま保障が継続する。
    • 第1保険期間中、積立金は予定利率で運用されるが、災害死亡保障のための費用やその他の諸経費等が差し引かれるため、積立金の実際の利回りは予定利率を下回る。
    • 第1保険期間中に支払う保険料はいったんアカウントに積立金として積み立てられ、特約の保険料はアカウントから充当される。毎回の払込保険料と特約保険料の差額がアカウントに積み立てられる。
    • 主契約の保険料払込期間満了時に年金移行特約を付加することにより、終身保障にかえて年金受取こ変更することもできる。

「一時払終身保険」の商品性
  • 「一時払終身保険」は、加入から一生涯の死亡保障(または高度障害保障)を確保できる保険商品。
    • 一般的には、「健康告知不要型」と「健康告知扱い型」がある。
    • 一時払保険料から契約締結に必要な経費を控除したあとの金額に積立利率が付利されて、積立金額が一生涯増加する。
    • 死亡保険金額は一時払保険料が最低保証されており、死亡日における「一時払保険料」・「積立金額」・「解約返戻金額」のうち、いずれか大きい金額が支払われる。
    • 保障
      • 契約当初から一時払い保険料よりも高い死亡・高度障害保険金が保証され、保障は一生涯続く。
    • 増加保険金
      • 増加保険金は、積立利率計算基準日に決定される積立利率を基にして計算される保険金で、積立利率計算基準日の積立利率が最低保証積立利率を上回る場合に発生する。
      • 積立利率更改前に加算されていた増加保険金額が減額されることはない。
    • 解約返戻金
      • 解約返戻時の積立金額に市場価格調整をしたものが解約返戻金となる。
        • 解約返戻金額=解約日の積立金額×(1−市場価格調整率)
        • 積立金は保険期間の経過とともに増加するが、解約返戻金は市場価格調整により一時払い保険料を下回ることがある。

生前給付型保険(生前に保険金等が給付される保険等)の商品性
  • 特定疾病保障保険 特約
    • 別名「三大疾病保障定期保険特約」。
    • 保険期間中に脳卒中・ガン・急性心筋梗塞で所定の状態になった際に保険金が支払われる。
      • 一般に、ガン(悪性新生物)については、契約後に医師によって診断確定されたときに特定疾病保険金が支払われる。
      • 急性心筋梗塞については、契約後に急性心筋梗塞となり、医師の診療を受けた初診日から60日以上労働制限される状態が継続したと医師によって診断されたときに特定疾病保険金が支払われる。
      • 脳卒中における所定の状態とは、一般的に脳卒中により初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上他覚的な神経学的後遺症が継続したときである。
    • この保険金を受け取らず保険期間中死亡・高度障害状態に陥った際は死亡・高度障害保険金が支払われる。但し両方を重複して受け取ることはできない。
  • 交通事故等で要介護状態になったっときの保障
    • 公的介護保険の第2号被保険者(40歳〜64歳)については、交通事故等で要介護状態になっても公的介護保険では保障されないが、公的介護保険に連動した介護保険のうち、各社の支払い基準によっても保険金を支払うタイプの介護保険は、公的介護保険の第2号被保険者が交通事故等によって会社所定の要介護状態になった場合でも保障の対象となる。

特約
  • 指定代理請求特約
    • 被保険者本人が受取人となる保険金や給付金等について、傷害や病気により、被保険者白身が請求できない特別な事情がある場合、あらかじめ指定された代理人が被保険者に代わって請求できる特約で、この特約に対する保険料の負担は不要である。
      • 指定代理請求人になれるのは、被保険者の戸籍上の配偶者、被保険者の直系血族、または被保険者と同居もしくは生計を一にしている被保険者の3親等内の親族などであり、保険金等の請求時においてもこれらの所定の要件を満たす必要がある。
        従って、あらかじめ指定されている指定代理請求人であっても、保険金等の請求時に所定の要件を満たさなくなった場合は、保険金等の請求を行うことはできない。
  • 先進医療特約
    • 厚生労働大臣が定める先進医療に該当する治療を、一定の施設基準を満たした医療機関で受けたときに給付金が支払われる。
      • 受け取ることができる給付金額は先進医療の技術料相当額で、各社ごとに上限額が設定されている。
      • 公的医療保険の自己負担相当額は支払い対象とならない。
    • 先進医療給付金の直接支払いサービス
      • 先進医療給付金の直接支払いサービスとは、先進医療に係る技術料を一時的に顧客が負担する際の経済的負担の軽減を目的として、医療機関の同意など、一定の要件を満たした場合に、先進医療特約の先進医療給付金を保険会社が直接医療機関に支払うサービスである。
  • 特定疾病保障定期保険特約

    備えるリスク 三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)と死亡・高度障害
    保険期間 終身、定期(特約)
    受け取れる保険金
    • 特定疾病保険金
    • 死亡保険金、高度障害保険金
    メリット
    • 三大疾病に備えられる
    • 「所定の状態」になると以降の保険料が免除になることがある
    デメリット 保険料が割高になる
    注意事項 三大疾病時の「所定の状態」に認められるのはハードル
    • 別名「三大疾病保障定期保険特約」。保険期間中に脳卒中・ガン・急性心筋梗塞で所定の状態になったとき、被保険者に特定疾病保険金が支払われる。
    • 被保険者が、この特約の保険期間中に死亡したときは死亡保険金が支払われる。
  • 保険料払込免除特約
    • 保険料払込免除特約の払込免除事由に該当すると、その後の保険料負担は不要となり、保険期間内は当初の契約どおりの保障を継続でき、更新型の保険商品の場合は更新後の保険料負担も不要となる。
  • 就業不能保障特約
    • 就業不能年金の支払い対象となる就業不能状態とは、いかなる職業においても全く就業ができないと医学的見地から判断されることが要件であり、被保険者がそれまで従事していた仕事ができるかどうかを基準として判断するものではない。
    • 就業不能年金の年金支払期間は、就業不能年金の支払事由に該当した日からその日を含めて5年間であり、被保険者が年金支払期間中に死亡したときは以後の就業不能年金は支払われないが、就業不能状態から回復しても支払い停止とはならない。
    • 就業不能年金が支払われた後、新たに就業不能年金または特定疾患就業不能給付金の支払事由に該当しても、就業不能年金・特定疾患就業不能給付金は支払われない。

「引受基準緩和型終身保険(低解約返戻金型)」の商品性
  • 引受基準緩和型終身保険とは、持病や入院・手術の経験がある方が加入しやすいように、告知項目を限定することで引受基準を緩和した終身保険のことをいう。

個人年金保険
  • 「個人年金保険」の商品性
    • 前厚型の確定年金
      • 前厚型の確定年金は、年金受取開始後の一定期間、年金年額を多く受け取ることができるため、退職から公的年金の受給開始までの間のつなぎ資金の準備に適している。
    • 保証期間付終身年金
      • 保証期間付終身年金は、年金受取開始後の一定期間(10年・15年など)は死亡しても年金の受取りを保証し保証期問終了後は被保険者が生存している限り年金を受け取ることができるため、公的年金の不足を補う上乗せ資金の準備に適している。
    • 年金受取開始年齢の繰下げ
      • 年金受取開始年齢の繰下げは、保険契約者の申し出により、所定の条件の下で行われる。
        繰下げ期間中は年金原資を保険会社が運用するため、年金受取開始年齢は運くなるが年金年額を増やす効果がある。
  • 変額個人年金保険
    • 「変額個人年金保険」は、払い込んだ保険料の運用成果によって、将来受け取る年金額や解約返戻金などが変動(増減)するタイプの生命保険商品である。
      • 個人年金保険の一種で、投資信託と生命保険を組み合わせたタイプの商品といえ、年金開始前に被保険者が死亡した場合に支払われる死亡給付金については、払込保険料相当額を最低保証するタイプが主流だが、最低保証のないものもある。
        • 個人年金保険
          • 老後の生活資金を自助努力で準備することを目的とした民間の保険をいう。
    • 変額個人年金保険の主な特徴
      • 運用成果によって将来の年金額や解約返戻金などが増減する。
        • 大半の商品は解約返戻金の最低保証はない。
      • 特別勘定(ファンド)は株式や債券などで運用する。
        • 一般に変額個人年金保険の商品には、特別勘定が単一のタイプと、複数の特別勘定が用意されて自由にスイッチングできるタイプの2つがあり、現在では後者の方が主流となっている。
          • 特別勘定のスイッチングは一定回数まで手数料はかからない。
          • この複数の特別勘定(ファンド)が用意されている商品については、契約者が自分の投資判断にしたがって、各ファンドの運用状況を見ながら適宜乗り換えて、より主体的に運用することにる。
      • 相続時に生命保険の非課税枠を活用できる。
      • 将来のインフレに対応できる可能性がある。
      • 運用と保険の両方に手数料がかかるため、一般的な投信と比べて手数料が高めに設定されている。
      • 中長期の運用を前提とするため、運用期間中の中途解約には高い解約金がかかる場合がある。
      • 外貨で運用するものでは、支払時と受取時の為替の変動によって損失が出ることがある。
  • 年金の税務

「所得補償保険」の商品性
  • 所得補償保険は、被保険者が国内外を問わず、傷害または疾病により就業不能となった場合に、被保険者がその間に喪失した所得を補償する保険である。
    • 所得補償保険は免責期間(4日、7日等)を設定する必要があり、その免責期間を超えてケガ、病気等により就業不能であった期間に対して保険金が支払われる。
    • 所得補償保険は、就業不能状態であれば、医師の治療を受けながら自宅療養している場合も保険金の支払い対象となる。
    • 就業不能直前の平均月間所得額と所得補償保険金額のいずれか低い方の額を算出基準として保険金が支払われる。
      • 所得補償保険の保険金
        • 身体の傷害に基因して支払を受ける保険金に該当するので非課税とされる。
        • 事業主が自己を被保険者とした所得補償保険の保険料を支払った場合
          • その保険料は家事費であり「業務について生じた費用」とはいえないので、所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。

保険の税務・経理
保険料の経理
  • 保険金受取人 税務・会計上の処理  
    死亡保険金 満期保険金 主契約保険料 特約保険料
    養老保険 法人 法人 資産計上 損金算入
    遺族 本人 給与 損金算入
    遺族 法人 1/2資産計上
    1/2損金算入★
    損金算入☆
    定期保険 法人 なし 損金算入 損金算入◎
    遺族 なし 損金算入★
    長期平準定期保険 法人
    逓増定期保険 法人
    介護費用保険 法人
    個人年金保険
    終身保険
  • ★ 特定の者のみを被保険者とする場合には給与に該当。
  • ☆特定の者のみを受取人とする場合には給与に該当。
  • ◎特約の受取人を特定の者とする場合または、職制によって著しい格差がある場合には給与に該当。
  • 長期火災保険の保険料支払時の経理処理

    • 法人が所有する建物(資産)を保険の目的とする火災保険の保険料は、損害保険料として損金算入が可能である。
    • 長期契約で保険料払込み方法が一括払いの場合は、期間の経過に応じて損金算入する。

所得税の保険料控除

個人、個人事業主の保険料控除(所得金額から差し引かれる金額…所得控除)には以下の4つがある。
  • 保険料控除の種類
    @ 生命保険料控除
    1. 一般生命保険料控除
    2. 介護医療保険料控除
    3. 個人年金保険料控除
    A 損害保険料控除 地震保険料控除
    B 社会保険料控除 支払った全額が控除額
    C 小規模企業共済等掛金控除
  • 保険契約における保険料控除

    • 生命保険料控除

      • 平成22年度税制改正により生命保険料控除が改組され、「介護医療保険料控除」が創設された。
      • 平成24年以後は、

        • 主契約と特約の保険料について、保障内容によって次のように3種類の保険料控除となった。
          一般生命保険料控除 生存又は死亡に起因して一定額の保険金、その他給付金を支払うことを約する部分に係る保険料
          介護医療保険料控除 入院・通院等にともなう給付部分に係る保険料
          個人年金保険料控除 個人年金保険料税制適格特約の付加された個人年金保険契約等に係る保険料

        • 控除額の上限はそれぞれ所得税で4万円、合わせて12万円となった(所得税法第76条)。この規定の適用は平成24年1月1日以後の契約について適用される。

          生命保険料控除額の計算に当たってば、平成23年12月31日以前に締結した保険契約(旧契約)と平成24年1月1日以降に締結した保険契約(新契約)とを区分する必要がある。

          注意が必要なのは、
          • 平成23年12月31日以前に加入した契約であっても平成24年1月1日以降に契約内容の一定の範囲の変更が行われている場合には、その保険契約は(全体が)新契約とみなされる点である。
            • 医療特約の中途付加はこの範囲に含まれる。

        • 新制度の適用のポイント
            • 身体の傷害または疾病により保険金が支払われる保険契約(身体の傷害のみに基因して保険金が支払われるものを除く)が、生命保険料控除の対象となる。
              • 所得補償保険は生命保険料控除(介護医療保険料控除)の対象となる。
            • 医療費等支払事由に基因して保険金等が支払われるものは、生命保険料控除の対象

              • 生命保険会社の締結した疾病又は身体の傷害その他これらに類する事由に基因して保険金等が支払われる保険契約のうち、医療費等支払事由に基因して保険金等が支払われるものは、生命保険料控除の対象とされている(所得税法第76条第1項、第2項、第6項、第7項)。
                • 身体の障害のみに基因して保険金が支払われる傷害保険は控除対象外。
                • 「がん保険」は、被保険者ががんに罹患した場合に一定の保険金を支払うものなので、医療費等支払事由の一つである「疾病若しくは身体の傷害又はこれらを原因とする人の状態」(所得税法施行令第208条の6第2号)に基因して保険金等が支払われるものと認められる。
                  • 「がん保険」の契約が平成23年12月31日以前に締結したものは旧生命保険契約等、平成24年1月1日以後に締結したものは介護医療保険契約等に該当する(所得税法第76条第6項、第7項)【関係法令通達】 所得税法第76条第1項、第2項、第6項、第7項、所得税法施行令第208条の6第2号
            • 終身保険は、一般生命保険料控除
            • 総合医療特約は、介護医療保険料控除
            • 死亡保障と介護・医療保障を兼ねた組込型保険については、一定の条件を満たす場合に「介護医療保険料控除」の対象となる。
            • 財形保険は租税措置法により保険料控除の対象にはならない。
            • 「個人年金保険料控除」を受ける為の条件
              • 「個人年金保険料税制適格特約」を付けている
              • 年金受取人が、
                • 契約者または契約者の配偶者のどちらか
                • 被保険者と同一人である
              • 保険料払込期間が10年以上
              • 確定年金の場合、年金支払開始年齢が、60歳以上and年金受取期間が10年以上
          • 同一商品でも新旧制度で違いがある。

        • (設例) 個人契約の保険の税務上の取扱い
          年調さんが支払った保険料が下記のとき、年調さんの平成26年分の所得税の生命保険料控除の金額はいくらか?
          • 保険種類 加入時期 保険料払込方法 保険料 配当金 備考
            @ 総合医療特約
            定期保険
            平成18年 月払い 年間保険料 96,000円 なし ※ 1
            A 個人年金保険 平成25年 一時払い 保険料  3,000,000円 なし
            B 個人年金保険 平成25年 月払い 年間保険料 24,000円 なし ※ 2
            C 普通傷害保険 平成25年 年払い 年間保険料 44,000円 なし ※ 3
            • ※1 定期保険部分の保険料81,600円、総合医療特約部分の保険料14,400円
            • ※2 税制適格特約付
            • ※3 損害保険会社と契約している。
          • <所得税の生命保険料控除の控除額の速算表>
          • (1).平成23年12月31日以前に締結した保険契約(旧契約)等に係る控除額
            • 年間の支払保険料の合計 控除額
              25,000円以下 支払金額
              25,000円超 50,000円以下 支払金額×1/2+12,500円
              50,000円超 100,000円以下 支払金額×1/4+25,000円
              100,000円超 50,000円
          • (2).平成24年1月1日以降に締結した保険契約(新契約)等に係る控除額
            • 年間の支払保険料の合計 控除額
              20,000円以下 支払金額
              20,000円超 40,000円以下 支払金額×1/2+10,000円
              40,000円超 80,000円以下 支払金額×1/4+20,000円
              80,000円超 40,000円

          • [一般生命保険料控除]
            • @の契約は旧制度のものであり、医療特約に係る保険料を含めた保険料の全額が該当する。
              • 控除額:96,000円×1/4+25,000円=49,000円…(A)
            • Aの契約は新制度のものであり、個人年金保険だが保険料が一時払い、かつ、税制適格特約付ではないため、一般生命保険料控除に該当する。
              • 控除額:3,000,000円 > 80,000円 ∴40,000円…(B)
            • 新制度の契約と旧制度の契約の両方に加入している場合、以下のa〜cのいずれかを納税者が選択する。
              • a:新制度の契約に係る控除額
              • b:旧制度の契約に係る控除額
              • c:新制度と旧制度の契約の双方について適用を受ける場合の控除額(最高4万円)
              •  (A )> (B)     49,000円 ≦ 50,000円 ∴49,000円…(イ)
            • [個人年金保険料控除]
              • Bの契約は新制度のものである。
                • 控除額:24,000円×1/2+10,000円=22,000円 ≦ 40,000円  ∴22,000円…(ロ)
            • [介護医療保険料控除]
              • Cの契約は保険金等の支払事由が身体の傷害のみに基因することとされており、その保険料は介護医療保険料控除の対象とはならない(同法第76条第6項第4号、第7項第2号)。
              • 控除額:0円…(ハ)
            • [生命保険料控除額]
              • (イ)+(ロ)+(ハ)=71,000円 ≦ 120,000円  ∴71,000円

    • 損害保険契約における生命保険料控除と損害保険控除
      • 地震保険料控除
        • 次の、1、2の条件を満たす場合は、地震保険料控除の対象となる。

          1. 保険の対象が、「居住用の住宅」「生活用の動産(家財)」であること。
            • 家屋のうち、常時、住居として使用していない「別荘」「空き家」などの地震保険契約は保険料控除の対象とならない。
            • 店舗などと併用している住宅(店舗・事務所併用住宅)の場合、居住部分のみが保険料控除の対象となる。
            • 生活用動産が保険の対象となるので、貴金属や美術工芸品は対象にならない。
              また、営業用什器・備品は地震保険を契約することができない。
          2. 保険の対象の所有者が「保険契約者」または、「保険契約者と生計を一にする配偶者か親族」であること。
            • ペット保険は,保険料控除の対象外。
        • 自然災害共済の地震等損害部分に相当する掛金は、地震保険料控除の対象となる。
      • 長期損害保険料控除の経過措置
      • 自動車保険、掛捨て型火災保険は、長期契約であっても保険料控除の対象外。

保険金の税務

  • 生命保険金の課税関係
  • 保険金の種類 契約者 被保険者 受取人 課税方法 備考
    死亡保険金 被相続人 被相続人 相続人 相続税 被保険者=被相続人、受取人=相続人
    相続人 被相続人 所得税(一時所得) 受取人=契約者
    相続人(ex:妻) 相続人(ex:子) 贈与税 契約者、被保険者、受取人が異なる
    満期保険金 被相続人 所得税(一時所得) 受取人=契約者
    相続人 贈与税 受取人が契約者以外
    解約返戻金 契約者 所得税(一時所得) 受取人=契約者
    死亡保険金 被相続人の勤務先 被相続人 相続人 相続税 被保険者=被相続人、受取人=相続人
    相続人 被相続人 相続人 所得税(一時所得) 受取人=契約者
    契約者=第三者 契約者以外 贈与税 受取人=契約者以外
    • 3大疾病保険金、介護保険金、身体障がい保険金、リビングニーズ特約の特約保険金などの生前給付保険金を被保険者本人が受取った場合、全額非課税とななる。
    • 保険金=一時所得

      • 満期保険金受取人が保険契約者でかつ保険契約者が生存している場合、満期保険金は一時所得として所得税・住民税の課税対象となる。
        • 保険契約者(保険料負担者)以外の者が被保険者となっている生命保険契約について、保険契約者(保険料負担者)が受け取る死亡保険金は一時所得とされ、所得税・住民税の課税対象となる。
      • 「一時所得」とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時的な所得で労務等または資産の譲渡の対価の性質を有しないものをいう。
        • 一時所得については、総収入金額からその収入を得るために支出した金額と特別控除額を控除して計算し、総所得金額を計算する場合には、一時所得の金額の1/2に相当する金額が、他の所得と合算される。
          • 一時所得となる金額
            • 一時所得の金額=「死亡保険金および満期保険金」−「支払保険料の金額」−「特別控除額(50万円)」
            • 総所得金額に算入する金額=「一時所得の金額」×1/2
      • ただし、「一時払い養老保険」について、「金融類似商品」の要件を満たす場合は、金融類似商品としてその差益(解約返戻金から払込保険料を控除した額)の20%(所得税15%・住民税5%)の源泉分離課税で課税関係が終了し、確定申告の必要はない。

        よって、生命保険の解約返戻金については、一時所得か20%の源泉分離課税かの判断が必要になる。


        金融類似商品と税金

    •  保険金等の課税価格
    • 生命保険契約の保険金を満期または披保険者の死亡により取得した場合で、その保険契約の保険料を保険金受取人以外の者が負担している場合。

      • 保険金受取人が取得した保険金(相続または遺贈により取得したものとみなされる部分を除く)のうち、次の算式によって計算した部分の金額が保険料を負担した者から贈与に上り取得したものとみなされる(相続税法第5条)。
        • 保険金受取人が取得した
          保険金の額
          × 被相続人・ 保険金受取人
          以外の者が負担した保険料の額
          贈与により取得したと
          見做される金額
          保険事故の発生時までに
          払込まれた保険料の総額

  • 損害保険金の税務

    • 損害保険の保険金受取時の税金

      • 一般に損害保険の「保険金受取時の税金」は、損害保険の保険金の種類によって取扱いが異なる。
        保険金を受取る損害保険の種類 契約者等 課税方法
        火災保険の場合 損害保険金は非課税
        自動車保険の場合 損害賠償金、見舞金、保険金などは非課税
        傷害保険の場合 後遺障害・入院・通院保険金 本人・家族が受け取りの場合は非課税
        死亡保険金 契約者=被相続人
        (被保険者=被相続人)
        (受取人=相続人)
        相続税
        契約者=相続人
        (被保険者=被相続人)
        (受取人=相続人)
        所得税
        契約者=第三者
        (被保険者=被相続人)
        (受取人=相続人)
        贈与税
        所得補償保険 身体の傷害に基因して支払を受ける保険金に該当するので非課税
        • 家屋や家財の損害により支払われる損害保険金は、非課税。
        • 本人又は家族が心身に加えられた損害により取得する損害保険金は、保険料の負担者に関係なく非課税。

    • 損害保険の満期返戻金受取時の税金

      • 一般に、損害保険の「満期返戻金受取時の税金」は、損害保険の種類によって取扱いが異なる。
        満期返戻金を受取る損害保険の種類 課税方法
        積立火災保険
        積立傷害保険
        積立介護費用保険
        一時所得課税
        金融類似商品
        (次の3つの要件を満たすもの)

        1. 保険期間か5年以下であるもの(保険期間が5年を超える契約で契約日から5年以内に解約されたもの
            を合む)
        2. 払込方法が一時払い、又はこれに準じる払い方をしているもの
        3. 保障倍率が次の(ア)、(イ)のいずれにも該当するもの
          • (ア)次の金額の合計額が満期保険金額の5倍未満(補償倍率が5倍未満)
            • ・災害死亡保険金
            • ・疾病または傷害による入院・通院給付日額に支払限度日数を乗じて計算した金額
          • (イ)普通死亡保険金額が満期保険金額の1倍以下
        ※ 源泉分離課税(20%)
        年金払積立傷害保険の給付金 雑所得課税
      • 損害保険契約に基づく満期返戻金の取扱い

        • 損害保険契約に基づく満期返戻金は、保険目的の対象物が事業用資産であっても、事業所得ではなく一時所得に該当する(所得税基本通達34-1)。
          なお、一時所得の金額の計算上、すでに事業所得の金額の計算上必要経費に算入された部分の支払保険料は、控除できないことに注意を要する(同基本通達36 ・ 37共-18の6)。

損害賠償金の税務
  • 加害者から治療費、慰謝料、損害賠償金などを受け取ったとき

    • 交通事故などのために、被害者が治療費、慰謝料、損害賠償金などを受け取ったときは、これらの損害賠償金等は非課税となる。
      ただし、損害賠償金に、その被害者の各種所得の計算上必要経費に算入される金額を補てんするための金額が含まれている場合には、その部分については、各種所得の収入金額とされる。(所法9、51、73、所令30、94、所基通9-19、9-23)

      1. 心身に加えられた損害について支払を受ける慰謝料など。
        • 具体的には、事故による負傷について受ける治療費や慰謝料、負傷して働けないことによる収益の補償をする損害賠償金など。
        • ただし、治療費として受け取った金額は、医療費を補てんする金額であるため、医療費控除を受ける場合は、支払った医療費の金額から差し引くことになる。なお、その医療費を補てんし、余りがあっても他の医療費から差し引く必要はない。
      2. 不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害について受ける損害賠償金など。
        • 具体的には、事故による車両の破損について受ける損害賠償金など。
        • 損害を受けた資産が事業用資産の場合、
          1. 棚卸資産の損害に対する損害賠償金は、収入金額に代わる性質を持つものであり、非課税とはならず、事業所得の収入金額となる。
          2. 必要経費に算入される金額を補てんするための損害賠償金は、、非課税とはならず、事業所得の収入金額となる。

          • 車両の損害に対する損害賠償金などは非課税。ただし、車両について資産損失の金額を計算する場合は、損失額から損害賠償金などによって補てんされ金額を差し引いて計算する。
            この場合、損害賠償金額がその損失額を超えたとしても、全額が非課税となる。
      3. 心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金

        非課税となる見舞金は、社会通念上それにふさわしい金額のものに限られる。
  • 交通事故で受け取った損害賠償金 に対する課税

    • 交通事故に遭った場合、受領できる金額は、
      • @.加害者側から受領する損害賠償金と
      • A.被害者側が加入する保険会社から受領する保険金の2種類となる。
      @.
      加害者側から受領する
      損害賠償金
      加害者側から受領する損害賠償金については、原則として非課税。
      • 交通事故による負傷について受ける治療費や慰謝料、それに負傷して働けないことによる収益の補償をする損害賠償金など。
        • 交通事故で怪我をした場合や、物品が壊れてしまった場合に加害者から受取る賠償金に課税されることはない。
        • 損害賠償金のうちに、被害者の必要経費に算入される金額を補てんするための金額が含まれている場合、その補てんされた金額に相当する部分は、収入金額とされる。
      • 被害者が死亡したことに対し加害者から遺族に支払われる損害賠償金は相続税の対象とならない。
        • この損害賠償金は遺族の所得になるが、所得税法上非課税規定があり、税金はかからない。
        • 損害賠償金には慰謝料や逸失利益の補償金などがある。
          • 逸失利益の補償金とは、もしその人が生きていれば得ることができる所得の補償金。
      A.
      被害者側が加入する保険会社
      から受領する保険金
      被害者自身の保険会社から受け取る保険金
      • 被害者自身の保険会社から受け取る保険金のうち、自分の自動車が損傷した場合に受領する車両保険金や、自身や搭乗者が怪我をした場合に受領する治療費などは非課税。
      • 人身傷害保険等による死亡保険金は課税対象。
        • ただし、人身傷害保険の死亡保険のうち、相手方の過失割合分については、本来、加害者から受け取ることができる賠償賠償金に相当するものであり、その部分は例外として非課税となる。
          • 過失割合が「被害者3:加害者7」の交通事故で、運転者が死亡し、保険金が1億円支払われたとき。
            • 加害者の過失割合が70%のため、1億円のうち7,000万円について非課税、3,000万円について課税される。
  • 個人事業主の税務

    • 個人事業主の損害賠償金の税務

      • 事業所得の収入金額に算入される損害賠償金
        • 事業上の資産に損害があり、業務の休止、転換、廃止等による収益補償として受け取った損害賠償金は、事業所得の収入金額に算入される。
        • 損害があった商品の被災原価は必要経費に算入されるので、個人事業主が受け取った損害賠償金(商品等の棚卸資産に対する損害賠償金)は、事業所得の収入金額に算入される。
          • 仮店舗の賃借料は、必要経費に算入される金額を補てんするためのものであり、事業所得の収入金額に算入される。
      • 非課税となる賠償保険金
        • 心身に加えられた損害により取得した損害賠償金は非課税となる。
        • 個人を対象とする、相手方の損害賠償に充てる為の個人賠償責任保険やゴルファー保険等の賠償責任保険の賠償保険金は、相手方の損害賠償に充てられ所得を生じないので、非課税である。
        • 個人事業主が受け取った社会通念上相当の範囲内の見舞金は非課税となる。
      • 傷害保険の死亡保険金を相続人が受け取った場合
        • 傷害保険の死亡保険金を保険金受取人である配偶者が受け取った場合、相続税の課税対象となる。
        • 「加害者の過失による部分」等の「損害賠償金の性格を有する金額」については、相続税の課税対象とはならない。
    • 自動車保険の保険金の税務処理
      • 対物賠償保険金は益金に算入し、被害者に支払った損害賠償金は損金に算入する。
      • 被害者として相手方から受け取った対物賠償保険金は益金に算入する。 一方、事故の損害額は損金に算入する。
      • 自動車保険の車両保険金も事業用資産を保険の目的とする火災保険と同様、圧縮記帳の適用が受けられる
      • 傷害保険金は、心身に加えられた損害または突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものに該当するため、非課税である(所得税法第9条第1項第17号)。

年金の税務/雑所得
  • (設例) 所得税の雑所得の金額
    雑徳さん(62歳)の平成25年分の収入が下記のとき、とおりである。雑徳さんの平成25年分の所得税の雑所得の金額はいくらか?
    他に雑所得はないものとする。

    • <平成25年分の収入>
      • @企業年金:180万円
        • 確定給付企業年金契約に基づく年金であり、在職中、雑徳さんは掛金を負担していない。
      • A個人年金保険:66万円(内訳:年金65万円、配当1万円)
        • 雑徳さん本人が保険料負担者かつ被保険者
        • (10年確定年金・年金受取回数10回  既払込正味保険料総額455万円)
      • B財形年金保険:35万円
        • (10年確定年金・年金受取回数10回  既払込正味保険料総額330万円)
      • C特別支給の老齢厚生年金:126万円
      •  
    • <公的年金等控除額速算表>
    • 納税者区分 公的年金等の収入金額 公的年金等控除額
      65歳未満の者 130万円未満 70万円
      130万円以上410万円未満 収入金額×25%+37.5万円
      410万円以上770万円未満収 収入金額×15%+78.5万円
      770万円以上 収入金額×5%+155.5万円
      65歳以上の者 130万円未満 120万円
      130万円以上410万円未満 収入金額×25%+37.5万円
      410万円以上770万円未満収 収入金額×15%+78.5万円
      770万円以上 収入金額×5%+155.5万円
    •   
    • 確定給付企業年金契約による年金給付
      • 企業年金の中でも、確定給付企業年金契約による年金給付は、公的年金等に係る雑所得として課税される(所得税法第35条、同法施行令第82条の2)。
        • 本設例の場合、公的年金等に係る雑所得の収入金額に算入する金額は、企業年金180万円と特別支給の老齢厚生年金126万円の合計306万円である。従って、公的年金等に係る雑所得の金額は次のとおりである。
              306万円−(306万円×25%+37.5万円=1,920,000円
    • 個人年金
      • 個人年金は、「公的年金等以外の雑所得」に該当する(同法施行令第183条)。
        • 公的年金等以外の雑所得の金額=
          • その年に取得する年金年額(配当を含む) 年金金額(配当を含まない) × 既払込正味保険料総額

            (年金の支払総額またはその見込額(※)(配当を含まない)
          • (※)保証期間付終身年金の場合、「年金の支払総額またはその見込額」は次のように計算する。
            • 年金の支払総額の見込額=年金年額×余命年数と保証期問年数とのいずれか長い年数。
          • 従って、公的年金等以外の雑所得の金額は次のとおりである。
            • 66万円−65万円×(455万円/(65万円×10年)=205,000円
    • 従って、雑所得の金額は次のとおりである。
      • 雑所得の金額=@+A=2,125,000円
  • 「年金払い特約付養老保険」等に関する税務処理
    • 保険金受取人、年金払い特約の締結時期により税務処理が異なる。
      • 保険金受取人が保険契約者(保険料負担者)である場合
        • 保険金受取人が保険契約者(保険料負担者)である場合に、保険契約者が保険金支払事由発生日以後保険金請求日以前あるいは保険期間満了日に年金払い特約を締結したとき、受取保険金等はその年の一時所得の対象となり課税される。
          • 受取保険金の額をその年分の一時所得の金額の計算上総収入金額に算入し既払込正味保険料総額をその年分の一時所得の金額の計算上必要経費に算入する。
          • 年金を受け取るときは雑所得として課税されるが、雑所得の金額を算出する際の必要経費の計算は既払込正味保険料総額ではなく、受取保険金等(年金基金充当額)を基に行う。
          • その年に取得する年金年額(配当を含む) 年金金額(配当を含まない) × 受取保険金等(年金基金充当額)

            (年金の支払総額またはその見込額(※)(配当を含まない)
  • 相続等により取得した生命保険契約等に基づく年金の税務
    • 従来、生命保険契約等に基づく年金については、相続等により取得したものであるか否かを問わず、その支払いを受ける年金の所得金額全額を所得税の課税対象として取り扱ってきたが、最高裁判所は平成22年7月6日、相続税の課税対象となる部分については所得税の課税対象とならないとする判決を下した。
      • この判決を踏まえ、相続人等が相続等により取得した年金受給権に係る生命保険契約等に基づく年金の支払いを受ける場合、その年金については、課税部分と非課税部分とに振り分けたうえで課税部分の所得金額についてのみ課税対象とすることとして、新たに計算規定が設けられた(所得税法施行令第185条)。
      • また、平成22年度税制改正により相続税法第24条(定期金に関する権利の評価)が改正された。改正後の評価方法の対象となる確定年金については、次のように所得税額を計算する。
        • @相続税評価割合=相続税評価額÷年金の支払総額または支払総額見込額
        • A相続税評価割合 > 50%の場合の総収入金額算入額(課税部分) =一課税単位当たりの金額×経過年数
    • 年金払積立傷害保険の権利の評価
      • 平成22年度税制改正において、定期金給付契約でその契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利の価額については、これまでの割合・倍数による評価から、
        (イ)解約返戻金の金額、
        (口)定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には当該一時金の金額、
        (ハ)予定利率を基に複利年金現価平等で計算した金額

        のうちいずれか多い金額とされた(相続税法第24条第1項)。

故夫名義生命保険契約の名義変更に係る税務
  • 相続開始時において、被相続人が保険契約者(保険料負担者)であり、被相続人以外の者が被保険者となっている生命保険契約がある場合。
    • 保険契約を引き継いだとき
    • 被保険者死亡による保険金
      • 保険契約者(保険料負担者)以外の者が被保険者となっている生命保険契約について、保険契約者(保険料負担者)が受け取る死亡保険金は一時所得とされ、所得税・住民税の課税対象となる。
    • 満期保険金
      • 保険契約者(保険料負担者)以外の者が受け取る満期保険金は、保険契約者(保険料負担者)から保険金受取人が贈与により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象となる。
    • 解約返戻金
      • 保険契約者(保険料負担者)が受け取る解約返戻金は一時所得とされ、所得税・住民税の課税対象となる。
  • 被相続人名義の年金保険契約(受取人≠被保険者)の名義変更
    • 名義変更前は年金受取人と被保険者が同一人ではないため、個人年金保険料税制適格特約を付加することができず、支払う保険料は一般の生命保険料控除の対象。
    • 名義変更後、年金受取人と被保険者が同一人になれば、個人年金保険料税制適格特約を付加する手続きをすれば、支払う保険料を個人年金保険料控除の対象とすることができる。
 事業主に対するコンサルティング
公的年金の遺族給付
  • 寡婦年金」は、国民年金の第1号被保険者として保険料納付済期間と保険料免除期間を合算して25年以上あり、障害基礎年金の受給権者であったことがなく老齢基礎年金の支給を受けたことがない夫が死亡し、その夫の死亡時に生計維持関係があり婚姻期間が10年以上継続していた65歳未満の妻が受給できる。
    • 受給できる期間は、その妻が60歳から65歳に達するまでの期間である。
  • 死亡一時金」は、国民年金の第1号被保険者として保険料納付済期間が3年以上あり、老齢基礎年金や障害基礎年金の支給を受けたことがない者が死亡し、遺族が遺族基礎年金を受けられない場合に支給される。
    • 受給できるのは死亡時に生計を同じくしていた者で、優先順位は配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順である。
    • 寡婦年金と死亡一時金の両方の受給要件を満たす場合は、選択により一方を受給し、両方受給することはできない。

個人事業主の自助努力による年金制度
  • 確定拠出年金
    • 「企業型年金」と「個人型年金」の2種類がある。
    • 国民年金の第1号被保険者(国民年金の保険料を免除されている人および農業者年金の被保険者を除く)は、個人型年金に加入できる。
    • 拠出限度額は、国民年金基金の掛金と合算して月額68,000円である。
      • 国民年金基金に加入している場合、または国民年金の付加保険料を納付している場合は、それぞれの掛金または保険料と合わせて68,000円が限度額となる。
    • 確定拠出年金は、拠出された掛金が個人ごとに区分され、掛金と運用収益を基に給付額が決まる年金制度である。
      • 掛金の運用指図は、加入者自らが自己責任で行う必要がある。
  • 企業型と個人型の違い
  •   企業型  個人型
    企業年金制度なし  自営業者など 
    加入対象者 60歳未満の従業員 60歳未満の
    厚生年金被保険者
    60歳未満の
    第1号被保険者
    加入方法 原則、全員加入
    規約で要件を定めた場合は、規約に基づく
    加入は任意
    国民年金基金連合会に加入申込み
    拠出者 事業主
    マッチング拠出制度あり
    加入者本人
    拠出限度額
    • 55,000円/月
    • 他に確定給付企業年金、厚生年金基金
      など加入の場合、27,500円/月
    23,000円/月
    5,000円〜限度額の範囲内で1,000円単位
    68,000円/月
    (国民年金基金の掛金又は国民年金の付加保険料と合算して)
    拠出金納付方法 事業主が一括納付 給料天引き、または口座振替 口座振替
    運営費用負担 会社または加入者負担
    (規約の定めによって異なる)
    加入者が負担
    運用 加入者本人が行う
    給付 規約に定められた受取方法から選択
    1. 5年以上20年以下の範囲で指定した期間年金で受取る
    2. 一時金として受け取る
    3. 年金と一時金の併給もできる
    運営主体 事業主 国民年金基金連合会
    運営管理機関 事業主が選定する 加入者本人が選択
    資産管理機関 国民年金基金連合会(事務委託先金融機関)
 企業型加入者が、「確定拠出年金未実施、かつ厚生年金基金・確定給付企業年金等の企業年金実施企業」へ転職した場合は、個人型へ資産を移管することができるが、掛金を拠出することはできず、運用指図のみとなる。
  • 国民年金基金
    • 47都道府県に設立された「地域型基金」と25の職種別に設立された「職能型基金」の2種類がある。
      • 両方同時に加入することはできず、いずれか一方を選択して加入する。
    • 国民年金基金の年金の種類は、終身年金A型(保証期間15年:65歳支給開始)・B型(保証期間なし:65歳支給開始)、確定年金T型(15年:65歳支給開始)・U型(10年:65歳支給開始)・V型(15年:60歳支給開始)・W型(10年:60歳支給開始)・X(5年:60歳支給開始)の7種類がある。
      • 年金種類や給付金額を自分で選択することになるが、1口目は終身年金A型かB型のいずれかを選ばなければならず、また確定年金の年金額は、終身年金の年金額を超えることはできない。
  • 小規模企業共済

法人成りにおける保険契約者の変更
  • 無償譲渡する(保険契約者を個人から法人に変更)場合
    • 無償譲渡する場合、個人の課税関係は発生しない。
    • 無償譲渡する場合、法人は、解約返戻金相当額を保険料積立金として資産に計上し、同額を雑収入として益金に計上する。
  • 解約返戻金相当額で有償譲渡する場合
    • 有償譲渡する場合、個人は、解約返戻金相当額が名義変更までに支払った正味払込保険料合計額を超えるときは、一時所得として所得税・住民税の課税対象となる。
      • 解約返戻金相当額が名義変更までに支払った保険料合計額以下のときは、課税関係は発生しない。
    • 有償譲渡する場合、法人は、解約返戻金相当額を保険料積立金として資産に計上する。
      • 「解約返戻金」→保険料積立金
      • 「配当金・積立配当金等精算額」→配当金積立金

事業保障のための適切な保険の選択

代償分割
  • 代償分割とは、共同相続人のうち特定の者が被相続人の財産を取得し、その代償としてその者が自己の固有の財産を他の相続人に支払うことをいう。
    • 遺産分割において代償分割を行う場合、遺産分割協議書の中に代償分割する旨や代償交付金の額・支払い方法などについて必ず明記する必要がある。
      代償分割をする旨などを遺産分割協議書に明記した場合、代償交付金を支払った者から受け取った者への贈与とはみなされず、贈与税は課税されない。
    • 代償分割を行う相続人の固有の財産を支払わなければ代償分割にならない。
      • A:被相続人(父親)
      • B:Aの長男
      • C:Aの二男 のとき、
      • Aが保険契約者および被保険者、死亡保険金受取人をBとする生命保険に加入し、
      • Aが生前に「死亡保険金は代償交付金である」旨をB及びCに伝えておいても、死亡保険金はBからCへの代償交付金とみなされない。Bは自己の固有の財産からCに支払わなければならない。
    • 代償交付金の準備を目的とした生命保険契約の場合、Aが被保険者、Bが死亡保険金受取であれば、契約形態が相続税形式(Aが保険契約者)、一時所得形式(Bが保険契約者)どちらの場合でも、死亡保険金が受取人固有の財産であることに変わりはないので、保険契約者はA、Bのどちらでもよい。
    • 代償交付金の準備を目的とした生命保険契約の場合でも、死亡保険金の支払いは、死亡保険金受取人からの請求により手続きが完了する。遺産分割協議の完了を問わず保険金が支払われる。
 財形保険と団体定期保険
財形貯蓄
  • 「財形貯蓄」とは、1971年に制定された勤労者財産形成促進法に基づいて設けられた「勤労者財産形成貯蓄」の略称で、翌72年1月にスタートした「勤労者が事業主の協力を得て賃金から毎月または、賞与毎に定期的に天引きで行う貯蓄(=事業主が払込みを代行する)」のこと。

    • 財形貯蓄には、一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の3種類がある。また、預け入れ先の金融機関や金融商品によって、「貯蓄型」と「保険型」に大別される。

      • 「財形年金貯蓄」、「財形住宅貯蓄」の対象となる貯蓄等

        • 勤労者財産形成年金貯蓄契約に基づく年齢55歳未満の勤労者が勤務先を通じて預入、信託、購入又は払込みをした預貯金、合同運用信託、有価証券、生命保険の保険料、生命共済の共済掛金、損害保険の保険料で、夫々一人1契約に限られる。

    • 一般財形貯蓄と財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄との違い。

      • 税金面
        • 一般に金融商品の利子や分配金には原則20.315%(所得税と復興特別所得税15.315、住民税5%)の源泉分離課税が適用される。
          一般財形貯蓄も同じで、20.315%の源泉分離課税扱い。
        • 一方、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄については、元本550万円までの利子等について所得税が非課税となる。

          • 財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄の両方を有する場合は、 両方を合わせて最高550万円まで非課税。
          • 生命保険の保険料、生命共済の共済掛金、損害保険の保険料は、385万円までとされており、残りの165万円については財形住宅貯蓄の非課税の枠として利用できる。
            • 保険料は、生命保険料控除の対象とならない。
        • ただし、それぞれの貯蓄目的以外で払い出す場合には課税される。

          • 「貯蓄型」は過去5年間の利子に対して20.315%の源泉分離課税
          • 「保険型」は積立開始からの利子全額が一時所得扱いになる。
      • 一般財形貯蓄の特徴

        • 加入年齢 制限なし
          資金使途 自由
          積立期間 3年以上
          契 約 複数の金融機関と契約できる
          積立金額の上限 なし
          税 金 2037年12月31日まで20.315%の源泉分離課税
          利用上の注意点 1年以内の払い出しはできない
          財形年金や財形住宅と併用することができる
          3年以上保有している場合は、勤務先が指定している他の金融機関への預け替えができる
          転職する場合には、退職後2年以内に継続手続きをとれば、転職先でも積立を継続することができる。
          財形貯蓄積立保険 「不慮の事故」で死亡した場合、「災害死亡(災害高度障がい)保険金」が支払われる。
         
  • 財形年金積立保険(財形年金)

    • 財形年金積立保険で、その利子等が非課税となるためには、
      • 加入年齢が満15歳以上満55歳未満、
      • 積立期間が最低5年以上、
      • 年金の支払い開始は満60歳以降、支払期間が5年以上、
      • 積立終了後年金の支払い開始まで据置期間は5年以内であること
      が契約時の要件である。
    • 財形年金積立保険のみで利用する場合は、払込保険料累計額385万円以下、財形住宅貯蓄積立保険(財形住宅)と併せて利用する場合は、払込保険料累計額の合計が550万円以下でなくてはならない。
    • 保険料は生命保険料控除の対象とならない。
  • 財形貯蓄積立保険(一般財形)
    • 契約時の年齢制限なし。複数の契約も可。
    • 災害により死亡・所定の高度障害状態になったときは、事故発生時における払込保険料累計額の5倍相当額が災害死亡(災害高度障害)保険金として支払われる。
団体定期保険
  • 団体定期保険は、「グループ保険」ともいわれ、保険期間1年の定期保険である。加入形態によって、「全員加入団体」と「任意加入団体」の2つに区分される。
    • 「全員加入団体」(Aグループ、A契約) …総合福祉団体定期保険(企業向け保険)

      • 従業員(役員を含むことができる)の死亡または所定の高度障害に対して、保険金を支払う1年更新の定期保険を指す。 割安な保険料で大きな保障を得ることができるため、多くの企業で導入されている。
        • 契約者が会社となり、会社に勤務している人へ加入の推奨を行うことなく、あらかじめ定められた年齢、性別、報酬、勤続年数などによって分類された従業員を一括して加入させる。
        • 従業員の知らない間に会社が保険をかけたといって、会社と遺族との間で訴訟が起きたため、平成8年11月より、「総合福祉団体定期保険」と名称を変更し、従業員が同意のもと、会社の福利厚生の運営と従業員と従業員の遺族の生活保障を目的とする保険となっている。
      • 特約の付加により、従業員の死亡に伴う企業の経済的損失に対する保障も準備できる。

    • 「任意加入団体」(Bグループ、B契約)

      • 契約の募集に際して、従業員に加入の推奨を行い、希望する者のみを加入させる。通常、保険料は給与から天引き。
      • 保険会社は、会社というくくりにより、一括管理や事務手続きができるため経費削減が図れ、職業的リスクを把握することができることなどにより、個人で生命保険に加入する場合よりも一般的に保険料が安くしている。
      • 医師の審査は不要で、申込時に告知のみで加入できる。
      • 一般生命保険料控除の対象。
      • 団体定期保険を採用している企業であっても、保険会社との契約内容によって、退職後も継続加入できる団体もあれば、退職後は速やかに脱退しなくてはならない団体もある。
 生命保険を活用した相続対策

死亡保険金の課税関係
  • 保険契約者 被保険者 保険金受取人 受取方法 所得の種類 税金の種類
    被相続人 被相続人  被相続人 相続 相続税
    被相続人以外 遺贈
    相続人 相続人 一時金 一時所得 所得税
    年金 雑所得 所得税
    相続人、被相続人以外 贈与 贈与税
    相続人、被相続人以外 相続人
    • 「保険契約者(保険料負担者)と被保険者が同一+死亡保険金受取人が相続人」の生命保険契約の死亡保険金は、相続税の課税対象となる(生命保険金の非課税金額の適用あり)。
    • 保険契約者(保険料負担者)と死亡保険金受取人が同一の生命保険契約の死亡保険金は、一時所得として所得税・住民税の課税対象となる。
    • 2次相続の被相続人に収入がない場合でも、1次相続の被相続人から2次相続の被相続人へ保険料相当額の贈与を行うことで、贈与した金額分だけ1次相続の被相続人の相続財産を減らしながら、2次相続の準備をすることができる。
保険契約形態の選択
  • 一時所得形式(保険契約者=相続人)と相続形式(保険契約者=被相続人)
    • 一時所得の金額の計算
      1. 一時所得の金額の計算は、「総収入金額−収入を得るために支出した金額−特別控除額」で求められるが、一時所得はその所得金額の2分の1を他の所得と合算して課税される。
      2. 仮に収入を得るために支出した金額が0円だとしても、合算される所得は一時所得における総収入金額の2分の1以下である。
      3. 所得税と住民税を合わせた最高税率は50%であるので、一時所得として課税される生命保険金額をAとすると、
        • (A−50万円)×1/2×50% < A×25%は常に成り立つ。
      4. 従って、一時所得を課せられる生命保険金では、所得税および住民税の実質負担税率は25%を上回ることはない(※)。
        (※平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得に対する所得税に係る基準所得税額については、復興特別所得税として、その年分の基準所得税額×2.1%が所得税に併せて課税される。
    • 一方で、相続税の最高税率は50%と25%を上回っていることから、一般的に被相続人の財産総額が多額になるほど、一時所得形式の契約形態が税務上有利になるといえる。

被相続人が保険契約者(保険料負担者)で、被相続人以外の者が被保険者となっている生命保険契約の相続
  • 保険契約者 被保険者 保険金受取人 所得の種類 税金の種類
    被相続人 被相続人以外 相続人 権利」を相続により取得 相続税
    相続人以外 権利」を遺贈により取得
  • 相続開始時に、被相続人が保険契約者(保険料負担者)であり、被相続人以外の者が被保険者となっている生命保険契約がある場合、新たに保険契約者となる者(その生命保険契約を引き継いだ人)が「生命保険契約に関する権利」を相続または遺贈により取得したものとして、相続財産に加算される。
    • 保険契約に関する権利に対応する保険料
      • 保険契約者(保険契約を引き継いだ者)が相続または遺贈により取得したものとみなされる部分の生命保険契約に関する権利に対応する保険料は、相続または遺贈によって取得した時以降は、保険契約者(保険契約を引き継いだ者)が自ら保険料を負担したものとされる。
        • 「生命保険契約に関する権利」を相続することによって、名義変更前に被相続人が支払った保険料は相続人が支払ったとみなされ、相続人が受け取る死亡保険金全体が一時所得として相続人の所得税・住民税の課税対象となる。

事業保障のための保険の活用
  • 定期保険(10年更新)
    • 定期保険(10年更新)の保険料は終身保険や長期平準定期保険に比べて保険料が安く、全額損金算入できるため、事業保障資金・死亡退職慰労金の財源としては効率的な準備ができる。
    • 保険会社によって取扱いは異なるが、10年後の更新時には健康状態にかかわらず、一定の年齢まで更新できる。しかし、保険期間中に解約した場合、一般的に解約返戻金はまったくないか、あってもごくわずかであることから、生存退職慰労金の財源には適さない。
  • 終身保険
    • 終身保険とは
      • 終身保険は、一生涯に渡って保障される死亡保険。被保険者が死亡したとき、遺族などの保険金受取人に死亡保険金が支払われる。
        • 保険料が比較的高いが、貯蓄性がある。
          • 保険料は損金算入出来ないが、保険料のかなりの部分が積立に回され、途中で解約する場合、加入期間に応じた解約返戻金を受け取ることができる。
      • 契約者貸付により保険契約を解約することなく資金調達することができる。
        • 貸付の返済持には返済した元利金額のうち、利息部分のみ損金算入することができる。
    • 法人が支払う終身保険の保険料の経理

      • 死亡保険金の受取人 その他条件 保険料の経理
        法人 保険料積立金として資産計上
        疾病などの特約部分 特約部分の保険料は、期間の経過に応じて損金経理
        被保険者の遺族 期間の経過に応じて損金経理
        特定の役員や従業員だけが被保険者 その特定の役員や従業員に対する給与となる
        • 役員に対する給与とされる保険料で、法人が経常的に負担するものは、役員の定期同額給与
        • 給与となった保険料は、その特定の役員・従業員本人の所得税における生命保険料控除の対象となる
        特定の役員や従業員だけ その特定の役員や従業員に対する給与となる

  • 長期平準定期保険
    • 「長期平準定期保険」とは、定期保険の中でも特に長期の保険期間を設定するものを言う。
      • 長期平準定期保険は、高額の保障が90歳や100歳等の長期にわたり準備できるだけでなく、一定の解約返戻金が期待できる。よって、死亡退職慰労金、生存退職慰労金の準備として活用できる。
    • 税法上の長期平準定期保険

      • 税法上の長期平準定期保険とは、以下の条件を全て満たす死亡保険金受取人が法人の「定期保険」をいう。

        • 保険期間満了時の被保険者の年齢 > 70歳
        • 保険加入時の被保険者の年齢+保険期間×2倍 > 105歳
        • 逓増定期保険に該当しないもの。
    • 長期平準定期保険の税務取扱
      • 期間 主契約保険料
        保険期間の前半60%に相当する期間
        (1年未満の端数は切捨て)
        各事業年度の支払保険料 1/2:一般の定期保険の保険料の取扱いと同様(損金経理)
        1/2:資産計上
        保険期間の60%に相当する期間を
        経過した後の期間
        各事業年度の支払保険料 一般の定期保険の保険料の取扱いと同様(損金経理)
        資産計上分の累積額 前半6割で積立てた資産を期間の経過に応じ取崩して損金算入 
  • 逓増定期保険
    • 「逓増定期保険」とは、契約後、保険期間満了までに保険金額が契約当初の金額から5倍まで増加する定期保険をいう。
      • 事業の拡大が予測されている場合は、一般的に必要となる事業保障資金が増加するため、保険金額が増加する逓増定期保険は適している。
      • 解約返戻金を生存退職慰労金の財源としても活用することができるが、満期保険金がなく、保険期間の満了持には解約返戻金が0円になるため注意が必要である。
    • 税法上の逓増定期保険
      • 以下の条件を全て満たすものをいう。
        • 保険金額が加入時の5倍以内まで増加するもの
        • 保険期間満了時における被保険者の年齢が45歳を超えるもの
      • 損金割合は、区分に応じて異なる。
      • 区 分 保険期間の前半60%に相当する期間 残りの期間
        @.保険期間満了の時における被保険者の年齢が45歳を超えるもの
        (2又は3に該当するものを除く。)
        1/2損金経理、1/2資産計上 全額損金

        前半6割で積立てた資産を
        期間の経過に応じ取崩して損金算入
        A.保険期間満了の時における被保険者の年齢が70歳を超え、
        かつ、保険加入時の被保険者の年齢+保険期間×2倍 > 95
        (3に該当するものを除く。)
        1/3損金経理、2/3資産計上
        B.保険期間満了の時における被保険者の年齢が80歳を超え、
        かつ、保険加入時の被保険者の年齢+保険期間×2倍 >120
        1/4損金経理、3/4資産計上

      • 前払期間に1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てた期間を前払期間とする。
  • 介護費用保険
    • 法人又は個人事業者が支払う介護費用保険の保険料の取扱
      • 法人が加入する介護費用保険
        • 法人又は個人事業者が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者として加入した損害保険で被保険者が寝たきり又は痴ほうにより介護が必要な状態になったときに保険事故が生じたとして保険金が被保険者に支払われるもの。
      • 趣旨
        • 保険期間が終身である介護費用保険は、保険事故の多くが被保険者が高齢になってから発生するにもかかわらず各年の支払保険料が毎年平準化されているため、60歳頃までに中途解約又は失効した場合には、相当多額の解約返戻金が生ずる。
          このため、支払保険料を単に支払の対象となる期間の経過により損金の額又は必要経費に算入することは適当でない。そこで、その支払保険料の損金の額又は必要経費に算入する時期等に関する取扱いが通達された。
      • 保険料の経理 (保険金受取人=法人)
        • 保険料 被保険者が60歳に達するまでの期間 60歳以後の15年間
          (1).年払又は月払する場合 1/2損金経理、1/2資産(前払金)計上 計上した前払費用等の累積額を、15年で期間の経過により損金経理
          (2).一時払する場合 払込期間を加入時から75歳に達するまでと仮定し、その期間の経過に応じて(1).により取り扱う。
        • 数年分の保険料をまとめて支払った場合
          • いったん支払保険料の全額を前払金として資産に計上し、その支払の対象となった期間の経過に応ずる経過期間分の保険料について、(1)の取扱いによる。
        • 被保険者の年齢が60歳に達する前に保険料を払済みとする保険契約又は払込期間が15年以下の短期払済みの年払又は月払の保険契約にあっては、支払保険料の総額を一時払したものとして(2)の取扱いによる。
        • 保険料を年払又は月払する場合において、保険事故が生じたときは、以後の保険料の支払は免除される。しかし、免除後に要介護の状態がなくなったときは、再度保険料の支払を要することとされているが、当該支払保険料は支払の対象となる期間の経過に応じて損金の額又は必要経費に算入する 。
    • 保険金の支払を受けた役員又は使用人の課税関係
      • 被保険者である役員又は使用人が保険金の支払を受けた場合、当該保険金は所得税法施行令第30条((非課税とされる保険金、損害賠償金等))に規定する保険金に該当するものとして、非課税として取り扱う。
  • 個人年金保険
    • 個人年金保険については次表のような取扱いとなる。

      • 受取人 主契約保険料
        死亡給付金 年金
        法人 資産計上
        被保険者またはその遺族 役員または従業員に対する給与
        被保険者の遺族 法人 9/10:資産計上
        1/10:期間の経過に応じて損金算入
 損害保険  
損害賠償責任と損害保険
  • 製造物責任法(PL法)
    • 製品の欠陥によって生命、身体又は財産に損害を被ったことを証明した場合、被害者は製造会社などに対して損害賠償を求めることができる法律。
    • 「製造物責任法」では、被害者は製造業者等の過失を立証する必要はなく、製造物の欠陥により損害が生じたことを証明すればよい(製造物責任法第3条)。
  • 自動車損害賠償保障法
    • 自動車の運行によつて人の生命、身体が害された場合の損害賠償を保障する制度を確立し、被害者の保護を図り、併せて自動車運送の健全な発達に資することを目的とする。
      • 「自動車損害賠償保障法」では、自動車事故における人の死傷についてのみ保険金が支払われる(自動車損害賠償保障法第1条、第3条)。
      • 原動機付自転車は、自動車損害賠償責任保険の契約を締結しなければ運行することができない(同法第2条第1項)。

 住宅総合保険と地震保険
住宅火災保険と住宅総合保険
  • 住宅火災保険
    • 住宅総合保険は、火災保険の主力商品であった。近年ではさらに幅広いニーズに対応できるオールリスクタイプの商品が各社の主力へと変わってきた。
  • 住宅火災保険、住宅総合保険の商品の仕組みと違い。
    • 住宅火災保険
      • 住宅物件用の火災保険として一番オーソドックスな商品。火災による損害のほか、落雷・破裂・爆発・風・ひょう・雪災による損害を補償。地震保険を付帯することができる。
    • 住宅総合保険
      • 住宅火災保険の補償内容にプラスして、外来物の落下・衝突・水濡れ・騒じょう・労働争議・盗難・水災によって生じた損害などを補償する。地震保険を付帯することができる。
      • 住宅物件用の火災保険としてベーシックな商品で、建物への補償と家財への補償(家財保険)の両方、あるいはどちらか一方だけでも加入できる。
  • 住宅総合保険の価額協定保険特約
    • 住宅総合保険の保険金額を再調達価額で設定するためには、価額協定保険特約を付帯しなければならない。
    • 住宅総合保険に価額協定保険特約を付帯する場合、一般に保険期間は5年を超えることはできない。
地震保険
  • 地震保険は、国の法律に基づいて政府と損保会社が共同で運営している。
    • どこの保険会社で加入しても、商品内容や保険料は同じ。
  • 地震保険の対象となる損害
    • 地震保険は地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没または流失による損害を補償する地震災害専用の保険。
    • 地震保険の対象は居住用の建物及び家財(生活用動産)のみ。
      以下のものは対象外となる。
      • 工場、事務所専用の建物など住居として使用されない建物
      • 1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・書画骨董品
      • 通貨、有価証券(小切手、株券、商品券等)、預貯金証書、印紙、切手、自動車等
        • 自動車の被害は地震保険では補償されない。
    • 建物の主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)に損害が無いと、”一部損”とみなされない。
  • 地震保険の保険期間

    • 火災保険の長期契約と地震保険の契約方法の関係
    • 火災保険長期契約 地震保険の契約方法











      年払い 保険期間1年の自動継続
      一括払い 保険期間5年以下 @保険期間1年の自動継続
      または
      A保険期間を火災契約と同一(2・3・4・5年のいずれか)とする長期契約
      保険期間5年超 @保険期間1年の自動継続
      または
      A保険期間5年の自動継続
      上記以外 保険期間1年の自動継続

    • 地震保険の保険期間は、火災保険の保険期間内で、5年以内にしなければならない。
    • 火災保険の保険期間が5年超の長期契約で保険料一括払いの場合、地震保険の保険期間は、1年の自動継続か5年の自動継続の何れかにしなければならない。
  • 個人が契約する地震保険の保険金額の設定
    • 地震保険に加入する際の保険金額は、地震保険に関する法律によって、地震保険がセットされる火災保険の保険金額の30%から50%の範囲内で設定するように定められている。
      • 建物については5,000万円、家財については1,000万円の限度額が設けられている。
      • マンションの管理組合が付保する地震保険の保険金額は、住宅総合保険の保険金額の30%〜50%の範囲内で設定できるが、区分所有者毎に共有部分の共有持分割合と専有部分を合わせて5,000万円が限度。
        • マンションの管理組合が共用部分を一括して地震保険を付保する場合、店舗部分の区分所有者の共有持ち分は地震保険の対象にはできない。
  • 地震保険の割引制度

    • 割引名:割引率 内 容
      1免震建築物割引:50% 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく免震建築物である場合
      耐震等級割引
      • 耐震等級3: 50%
      • 耐震等級2: 30%
      • 耐震等級1: 10%
      「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)を有している場合
      耐震診断割引:10% 地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、改正建築基準法(1981年6月1日施行)における耐震基準を満たす場合
      建築年割引:10% 1981年6月1日以降に新築された建物である場合
    • ※重複して適用を受けることはできない。
    • 地震保険の保険期間が2年〜5年の契約を長期契約といい、保険料を一括払いすることができる(保険期間に応じて保険料の割引が適用される)
  • 地震保険では、1回の地震等による保険金の総支払額が7兆円を超えた場合、保険金が減額されることがある。
 マンション総合保険
  • マンションの管理組合は、マンションの共用部分を管理しているため共用部分の管理に必要な保険に加入する必要がある。このため、多くの保険会社で、「マンション総合保険」、「積立マンション保険」のような名称で、管理組合向けの損害保険を販売している。

    • 大きく分けて建物、設備の「共用部分の損害を補償する保険」と、管理組合が「法律上の賠償責任を補償する保険」がある。

      • 共用部分の損害を補償する保険
        • 火災保険(住宅総合保険、普通火災保険、店舗総合保険)、機械保険、ガラス保険等。商業ビルでも利用されている。
        • 管理組合が付保する地震保険
      • 特約を追加することにより補償

        • 施設賠償責任担保特約
          • マンションの共用部分の管理に起因する偶然の事故で、管理組合が法律上の損害賠償責任を負担した場合に補償される。

             (例)
            • 外壁が剥がれ落ち、通行人に怪我をさせた。
            • 共用部分の給排水管の事故により漏水し、専有部分に損害が生じた(漏水担保特約付帯のとき)。
        • 水漏れ損害担保特約
          • 居住者の個室で生じた事故(専有部分の事故)により漏水し、保険の目的である共用部分に損害が生じた場合の補償。
        • 個人賠償責任特約(包括契約)
          • マンションの専有部分に起因する偶然な事故で他人の物に損害を与えたり、他人に怪我をさせた場合の、居住者の損害賠償責任が補償される。

            マンションでは、共用部分と専有部分の区分けが不明確で、事故が発生した時どちらに責任があるのかといったトラブルが多く、管理組合がそのトラブルに巻き込まれる事がある。専有部分の所有者が、個人賠償責任保険を加入していれば問題ないが、全員加入しているとは限らないので、管理組合が包括的に加入することにより、トラブルを裂けることができる。

             (例)
            • 居住者が水道の蛇口を閉め忘れ、階下の個室内の家財に損害をおよぼした。
            • 居住者がベランダから物を落とし、通行人に怪我をさせた。
            • 区分所有者以外の賃借人が居住する戸室から水漏れし、階下の住戸(専有部分)に損害を与えた場合、個人賠償責任特約から保険金が支払われる。
                 
          • ガラス損害担保特約
            • 投石、強風による物の飛来、車両の飛びこみ、居住者・来訪者の不注意等により、エントランスドア等共用部分のガラスが破損した場合に補償。
                 
          • 設備損害担保特約
            • エレベーター、給排水設備、車両のセキュリティーシステム等、マンション内の機械、設備に生じた、電気的、機械的事故を補償。
 普通傷害保険/家族傷害保険
  • 国内外を問わず家庭内、職場内、旅行中など、日常生活におけるケガを広く補償。
  • 補償内容
    • 傷害 (死亡・後遺障害・入院・手術・通院)
      • 日本国内外を問わず、急激かつ偶然な外来の事故によりケガをし、死亡したり、後遺障害を負った場合、又は入・通院した場合に保険金が支払われる。
        • 傷害保険の補償対象例
          • 偶然の事故によるやけどは、傷害保険の補償対象である。
          • 野球の試合中に打球が当たり手首を骨折し通院した場合、保険金の支払い対象となる。
          • 海水浴で高波により溺れて死亡した場合、保険金の支払い対象となる。
        • 傷害保険の補償対象外
          • 炎天下で庭仕事をしていたため熱中症になり入院した場合、保険金の支払い対象とならない。
          • 仕事でパソコンを使用していてけんしょう炎になり通院した場合、保険金の支払い対象とならない。
      • 他人にケガをさせて法律上の損害賠償責任を負った場合、個人賠償責任補償特約から保険金が支払われる。
  • 保険の対象者)の範囲
    • 普通傷害保険
      • 保険証券の本人欄に記載の1名が被保険者となる。
    • 家族傷害保険の被保険者(保険の対象者)の範囲
      • 傷害補償
        • 保険証券の本人欄に記載の者に加え、事故発生時点で次の立場に該当する者が自動的に被保険者となる。
          • a. 被保険者の配偶者
          • b. 被保険者または配偶者と生計を共にする同居の親族
            • 「親族」とは被保険者本人の6親等以内の血族および3親等以内の姻族をいう。
          • c. 被保険者または配偶者と生計を共にする別居の未婚の子
            • 「未婚」とは、これまで婚姻暦がないことをいう。
            • 本人あるいは配偶者と別生計の別居している未婚の子は、家族傷害保険の被保険者ではない。
  • 傷害保険は、「定額払い」
    • 傷害保険は契約時に定めた保険金額が保険金として支払われる。
    • 健康保険、生命保険、労災保険または賠償責任保険など、他保険からの支払いとは関係なく保険金が支払われる。
      • 傷害保険とそれ以外の保険を契約している場合、または複数の傷害保険を契約している場合には、各契約からそれぞれ保険金が支払われる。
  • 労災保険と損害保険の請求
    • 請求自体は両方行える。保険金を重複して受け取る事はできない(利得禁止の原則)。
      • 損害保険は損害のてん補を目的とし、被保険者は保険によって利得を得てはならない。
  • 賠償責任補償(特約)
    • 日本国内において、日常生活における偶然な事故により、他人にケガをさせたり、他人の財物に損害をあたえ、 法律上の賠償責任を負ったとき保険金が支払われる。
      • 買い物中、高価な商品を落として壊した。
      • 散歩中に飼い犬が他人に噛みつきケガを負わせた。
      • 自転車で歩行者に衝突しケガを負わせた。
      • ゴルフ中、他人にケガを負わせた。
 積立普通傷害保険
積立普通傷害保険の保険料支払時の経理処理
  • 従業員全員を被保険者とする「積立普通傷害保険」の保険料については、支払保険料から「平準積立保険料」を差し引いた金額を損金算入できる。
    • 保険料払込み方法が-一時払いの場合は、毎年期間の経過に応じて損金処理を行い、翌年度以降分(未経過期間分)については、「前払保険料(前払費用)」として資産計上する。
    • 「平準積立保険料」は、「積立保険料」として資産計上する。
    • 満期返戻金受取時には、満期返戻金、契約者配当金から、平準積立保険料部分を差し引いた金額が課税対象額となる。
  • 設例
  • 大地球社(決算期間:4/1〜3/31)の、保険料支払時の経理処理
  • <積立普通傷害保険>契約内容 保険料支払時の経理処理(税務処理)
    • 保険契約者 :大地球社(決算期間:4/1〜3/31)
    • 被保険者   :全従業員(10名)
    • 保険金額等(被保険者1名当たりの金額、各被保険者とも同一)
      • 死亡・後遺障害保険金額 500万円
      • 入院保険金額(日額)  2,000円
      • 通院保険金額(日額)  1,000円
      • 満期返戻金         100万円
    • 保険料内訳
      • 一時払い保険料      102万円
      • 積立特約保険料       98万円
      • 平準積立保険料       97万円
    • 死亡保険金受取人 :大地球社
    • 保険期間   :平成24年10月1日から5年間
    借方 貸方
    積立保険料
    前払保険料
    福利厚生費
    9,700,000
    450,000
    50,000
    現金預金 10,200,000

    • 支払額=1,020,000×10名=10,200,000
    • 5年間の損金算入可能額=10,200,000−(平準積立保険料:970,000×10)
      =500,000
    • 積立保険料=10,200,000−500,000=9,700,000
    • 今期の損金算入可能額=500,000×6ケ月/60ケ月=50,000
    • 来期以降の損金算入額(前払額)=500,000−50,000=450,000
 長期傷害保険(終身保障タイプ)
  • 長期傷害保険は、ケガでの入院、手術、通院費用や不慮の事故による死亡や後遺障害を保障する保険である。保険会社によっては感染症による入院や通院なども保障してくれるものがある。
    法人向けの商品も販売されており、通常の傷害保険と比べると解約返戻金が非常に高水準に設定されており、従業員のケガによる入院や通院、死亡などの保障を確保しながら退職金の準備としても活用できる。.
    • 法人が長期傷害保険(終身保障タイプ)に加入してその保険料を支払った場合には、次のとおり取扱う。
      (役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者とし、災害死亡保険金受取人を被保険者の遺族としているため、その保険料の額が当該役員又は使用人に対する給与となる場合を除く)
      1. 生保標準生命表の最終の年齢「男性106歳、女性109歳」を参考に「105歳」を「計算上の保険期間満了時の年齢」とし、保険期間の開始の時から当該保険期間の70%に相当する期間(前払期間)を経過するまでの期間にあっては、各年の支払保険料の額のうち4分の3に相当する金額を前払金等として資産に計上し、残額については損金の額に算入する。
      2. 保険期間のうち前払期間を経過した後の期間にあっては、各年の支払保険料の額を損金の額に算入するとともに、1.による資産計上額の累計額(既にこの処理により取り崩したものを除く。)につき、次の算式により計算した金額を取り崩して損金の額に算入する。
        • 資産計上累計額×         1         =損金算入額
          105−前払期間経過年齢
    • 不慮の事故、所定の感染症による死亡や所定の身体障害状態を保障。
      • 業務上、業務外を問わず、従業員の災害保障対策や福利厚生、経営者(役員)の災害保障対策や事業保障にも役立つ。
    • .勇退時の退職慰労金を確保
      • 在任中の保障だけでなく、勇退時には解約返戻金を退職慰労金の財源としてご活用できる。
    • 3.加入手続が簡単
      • 医師による診査や、身体状況についての被保険者からの告知は不要。被保険者の職業などについて、契約者から一括告知する方式。
        • 申込書への各被保険者の自署、捺印または記名、捺印は必要。
    • 所定の条件を満たしている場合、解約返戻金額の範囲内で貸付制度を利用可。
      • 払済保険への変更制度が利用可。
        • 所定の条件を満たしている場合、変更時の解約返戻金を一時払の保険料に充当することで、保険料払込済のご契約に変更することができる。
 労働災害総合保険
  • 「労働災害総合保険」

    • 従業員が政府の労働者災害補償保険(労災保険)の災害補償の対象となる身体障害を被った場合、労災保険の上乗せ補償を行うことによって被る損害、および使用者として法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害を填補する保険。

      • 加入者

        • 政府労災保険等に加入している全ての企業が加入可。
        • 保険料は全額損金算入できる。
        • 無記名方式での契約。名簿等の提出は不要

      • 補償対象者

        • 政府労災保険の被用者は、当該企業の災害補償規程で対象外とされていない限り、労働災害総合保険の補償対象者に含まれる。
          • 使用人兼務役員(役員報酬のほかに一定の担当業務を持ち、賃金の支払いを受けている役員)も補償対象者に含まれる。
          • 申込書に明記することにより、臨時雇いのパートタイマー、アルバイト従業員を除外して契約できる。
      • 保険金の支払

        • 政府労災保険の保険給付(労災認定)決定が、保険金の支払要件。
          • 労働災害総合保険は、他の生命保険、傷害保険から給付があっても政府労災保険の認定を基に支払われる。
          • 通勤災害は政府労災保険の補償の対象だが、労働災害総合保険(法定外補償条項 )では、「通勤災害補償特約」をセットした場合のみ保険金が支払われる。
        • 労働災害総合保険の保険金受取人は会社であり、会社はその全額を被災被用者に支払わなくてはならない。支払わなかった場合はその部分について保険会社に返還しなければならない。

    • 「法定外補償条項」と「使用者賠償責任条項」の2つの補償から構成される。(どちらか一方の契約も可)
        • 法定外補償条項
          • 従業員が労働災害を被った場合に、労災保険等の上乗せ補償として、従業員や遺族に支払う補償金を保険金として支払う。
          • 保険金には、死亡補償保険金、後遺障害補償保険金、休業補償保険金の3つがある。(死亡・後遺障害のみや、死亡のみ対象の加入も可)
          • 保険金額は、定額方式と定率方式のいずれでも設定可。
          • 労働災害の認定、後遺障害の等級および休業の期間等については、政府労災保険等の認定に従う。
          • 法定外補償条項については、政府労災保険に特別加入している中小事業主や一人親方も、特約をつけることで補償対象とすることができる。
          • 特約(オプション)で通勤途上や退職者加算、また、労働災害発生時に負担する従業員の遺族への葬祭費やお花代等(災害付帯費用)を補償することもできる。
          • 労働協約、就業規則、災害補償規程等がなくても加入可。

        • 使用者賠償責任条項
          • 従業員が被った労働災害の責任が会社にある場合で、政府労災保険等の給付や法定外補償規定に基づく支払い等を超えて法律上の賠償責任を負担することによって支払う損害賠償金等を保険金として支払う。
          • 支払う保険金の範囲は損害賠償金および争訟費用。
          • 保険金額として、「従業員1名あたり」と、「1災害あたり」の支払保険金の限度額を設定する。
          • 政府労災保険等の保険給付が決定されることが、保険金支払いの条件となる。
          • 法定外補償規定がなくても加入可能。
  • 労災事故の必要補償額

    • 労災事故の必要補償額は、

      • 企業側に
      • (1)安全配慮義務違反がなかった=使用者責任がなかった=上乗せ補償は「福利厚生」
      • (2)安全配慮義務違反があった=使用者責任があった=上乗せ補償は「民法上の賠償金」
      • により異なる。
      • 「法定外補償規定」を定めると、その規定に基づく補償責任を負うことになる。
    • 「労災総合保険(法定外上乗せ)」の保険金は、「民法上の賠償金」から「控除可能な金額」 となる。
 賠償責任保険
  • 個人賠償責任保険

    • 被保険者やその家族が日常生活で誤って他人にケガをさせたり、他人の物を壊してしまった場合に、損害賠償金や弁護士費用などを負担することを目的とした保険。
      火災保険や傷害保険、自動車保険といった代表的な保険の特約として契約する場合が多い。
    • 被保険者
      • 個人賠償責任保険の被保険者は「生計を共にする同居の親族」となっている。
        • 一家の世帯主が契約していれば、その子供が起こした事故も補償される。
        • 子供には「生計を共にする別居の未婚(これまでに婚姻歴がないことが条件)の子」も含まれる。大学生などで親元から離れて一人暮らしをしていても、親からの仕送りを受けている未婚の子であれば補償の対象となる。
  • 個人情報漏えい保険(賠償責任担保部分)

    • 個人情報漏えい保険(賠償責任担保部分)は、業務遂行の過程における個人情報の管理に伴って発生した個人情報の漏えいに起因して、法律上の損害賠償責任を負担することによる損害を補償する。
    • 個人情報の漏えいは使用人の故意によるものを含み、また、個人情報は電子データ、紙媒体によるものかを問わない。

  • 施設賠償責任保険

    • 被保険者である会社もしくは個人(施設を所有・管理する者)が、
      (1) 建物や建築物などの施設や設備の構造上の欠陥あるいは管理上の不備等が原因で、
      (2) 施設の内外で通常行われる生産・販売・サービス業務の遂行に関連して、
      第三者に身体的傷害や財物損壊を与えた場合に、法律上の賠償責任を負担することによって被る損害を補償する。

    • 法律上の損害賠償責任

      • 不法行為責任(民法709条)
      • 工作物責任(民法717条)
        • 漏水によって生じた損害は、「漏水担保特約」の付保がないと補償されない。
      • 使用者責任(民法715条)

  • 自動車管理者賠償責任保険

    • 被保険者が預け主に対して法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害に対して保険金を支払う保険。日本国内で発生した事故が対象。

      • 保管施設内で、他人の自動車を管理している間に生じた事故(損壊、紛失、盗取、詐取)
      • 一時的に保管施設外で他人の自動車を管理している間に生じた事故(保管施設内で他人の自動車に対して行う業務遂行の通常の過程としてその自動車が一時的に保管施設外にある場合)
  • 昇降機賠償責任保険

    • 昇降機賠償責任保険は、エレベーター・エスカレーターを所有・管理する者が、機械の構造上の欠陥や管理の不備に起因して、他人の身体に障害を負わせたり、他人の財物を損壊した場合、法律上の損害賠償責任を負担することによる損害を補償する。

  • 生産物賠償責任保険

    • 生産物賠償責任保険は、商品の欠陥や仕事の結果に起因して、他人の身体に障害を負わせたり、他人の財物を損壊した場合、法律上の損害賠償責任を負担することによる損害を補償する。
    • 従業員が業務中に被った身体障害に起因する損害賠償責任は免責となっている。
 自動車保険
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)
  • 自賠責保険は、”交通事故による被害者を救済するため”法律に基づき、すべての自動車に加入することが義務付けられている強制保険。
    • 人ではなく車両に対してかけられる保険。無免許運転でも飲酒運転でも保険の対象となる。
    • 原動機付自転車なども対象になっている。
  • 限度額と補償内容
    • 限度額
      死亡 3,000万円
      傷害による損害
      • 傷害による損害は、治療関係費、文書料、休業損害および慰謝料が支払われる。
      • 限度額=(被害者1名につき)120万円(自賠責法施行令第2条第1項)
      後遺障害 後遺障害の程度に応じた等級によって75万円〜4,000万円※
    • 補償内容
      • 交通事故で他人を死亡させてしまった。
      • 交通事故で他人にケガを負わせてしまった。
      • 保証対象外
        • 運転者自身のケガ
        • 自動車の修理代
        • 単独の人身事故(例:電柱に衝突してケガをした)
    • 補償範囲
      • 「他人」のみ。ここで言う「他人」とは血縁以外の人ではなく、「運転手」「運行供用者以外」を指す。

  • 仮渡金
    • 賠償額の確定までに時間がかかるような場合、被害者は、治療費や葬儀費など当面の出費にあてるため、加害者の加入している保険会社に保険金の前払いを請求することができる。
    • 仮渡金の額
      • 死亡の場合 290万円
      • ケガの場合 ケガの程度に応じて40万円、20万円、5万円
  • 自賠責保険の時効の起算日
    • 自賠責保険の時効の起算日は、死亡事故の場合、
      • 加害者請求では損害賠償金を支払った日、
      • 被害者請求では死亡日である。
対人賠償責任保険、人身傷害補償保険、搭乗者傷害保険
  • 対人賠償責任保険は、被保険者の業務に従事中の他の従業員の身体傷害は免責である。
  • 人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険
  • 政府労災保険との関係
    • 人身傷害補償保険と政府労災保険の二重支給は認められない。が、政府労災保険が支給された場合でも、人身傷害補償保険から政府労災保険から支給されない休業1日目から3日目までの休業給付や、慰謝料等が支払われる。
    • 「搭乗者傷害保険」 は、政府労災保険の給付の有無にかかわらず自動車事故における車両搭乗中の死亡・後遺障害等に対して保険金が支払われる。
対物賠償責任保険
  • 対物賠償責任保険は、破保険者が所有、使用、管理する財物の滅失、破損、汚損は免責である。
  • 対物事故により相手の修理費用が時価額を超える場合は、法律上の損害賠償責任の額である、被害自動車の時価額が対物賠償責任保険金として支払われる。
    • 「対物差額修理費用補償特約を付帯することて補償できることがある。
車両保険
  • 車両保険では、地震や噴火等での損害について、天災危険担保特約を付帯していない場合は、車両保険金は支払われない。
  • 一般車両保険では、事故の相手が特定できない当て逃げによる損害も、車両保険金が支払われる。
  • タイヤが単独で破損した場合、車両保険では補償されない。
    • 被保険自動車の他の部分と同時に損害を被った場合、火災や盗難によって損害が生じた場合は補償対象。
個人賠償責任特約
  • 日本国内で発生した、自動車事故以外の日常生活の事故により、契約者とその家族(別居の未婚の子を含む)が他人をケガさせたり、他人の財物に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われる。
    • 子供が、自転車で通学中に他人にぶつかり、ケガをさせてしまった。
    • マンションで洗濯機から水が溢れ、下の階の戸室に被害を与えてしまった。
    • 散歩中に、飼い犬が他人に噛み付いてケガをさせてしまった。
    • ゴルフプレー中に自分が打ったボールが他人にあたり、ケガをさせてしまった。
他車運転危険補償特約(他車運転特約、他者運転危険担保特約)
  • 被保険者等(自分や自分の家族)が、他人の車を運転して事故を起こした場合、「他人の車」を契約車両とみなして、 自分の自動車保険で補償される(保険金を支払う)特約。
    • 多くの場合、自動的に付帯(セット)されている。
    • 「記名被保険者」が個人である場合に適用される。
      • 記名被保険者
      • 記名被保険者の配偶者
      • 記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
      • 記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子
    • 記名被保険者が所有する車や常時使う車を「他車」とは見なさない。
    • 自分が加入している自動車保険の契約の補償限度額が適用される。
      • 自分の自動車保険でつけていない種目は補償されない。
フリート契約
  • フリート契約者

    • 「所有・使用する自動車」のうち、契約期間が1年以上の自動車保険を契約している自動車の合計台数が10台以上の契約者。
      • 所有・使用自動車が10台以上ある場合は必ずフリート契約
      • フリート契約では、10台以上の所有・使用する車両を1つの保険証券で契約した場合、5%のフリート多数割引が適用される。
  • フリート契約とノンフリート契約の違い
  • フリート契約 ノンフリート契約
    割増引率の適用単位 契約者単位 自動車一台単位
    割増引率の決定方法 総契約台数(※)と保険料、保険金、前年の

    フリート割増引率によって決まる

    前契約の契約期間、ノンフリート等級別料率、

    事故有係数適用期間、事故件数および事故内容によって決まる


    • (※)契約期間が1年以上の自動車保険を契約している自動車の合計台数
    • ノンフリート契約は、自動車の台数が3台から9台までの際にセミフリート、あるいはミニフリートと呼ばれる契約を利用することができる。
      • 保険付保台数により1%〜5%のノンフリート多数割引が適用できる。
      • 保険会社によっては、2台所有する際のセカンドカー割引、2台でもミニフリートを認めるところがある。
 その他の損害保険
ゴルファー保険(ワンタイム保険)
  • 1日もしくは1泊2日のゴルファー保険(ワンタイム保険)を契約することで、必要な時だけ補償を用意することができる。
取引信用保険
  • 取引信用保険は、取引先の破産手続きの開始等により債務不履行が生じた場合、回収不能となった売上償権に対して約定した保険金が支払われる。
  • 契約の対象となる取引先ごとに、保険金の支払限度額を設定する。
1日単位の自動車保険
  • 家族や友人の車を借りて運転するときに1日500円〜の自動車保険。
  • 一般的な自動車保険と異なり、借りた自動車を運転中の事故に対しての補償を目的としており、契約時に借りる車を特定する必要がある。
    • 本人・配偶者名義・法人名義の車、レンタカーは加入することができない。
    • 車の用途・車種が自家用乗用車(普通・小型・軽四輪)が対象。一部対象外車種あり。
  • 補償内容(借りた車を運転中の事故)
    • 対人・対物賠償責任に対する補償
    • 搭乗者や自損事故に対する補償
    • ロードアシスト(車両搬送費用補償など)
    • 借りた車に対する補償(「車両補償ありプラン」のみ)
      • 保険の利用開始日が初回申込日より7日以内の場合、車両補償ありプランは利用不可
  • 免責金額(自己負担)が設定されている。
  • 1回の申込みで最長連続7日間まで加入可。
  • 申込時間に関わらず、保険期間終了日の24時までが保険期間。
  • 1日自動車保険は、記名被保険者および利用日を同一とする契約は2契約まで加入可。
運送保険
  • 運送保険は、自動車・貨車等により貨物を輸送中に事故を被った場合、貨物の損害を補償する。貨物の輸送用具の損害は補償されない。
リスク細分型の自動車保険
  • リスク細分型の自動車保険の中には、年間の走行距離を保険料を算出する際に反映させるものがある。
国内旅行傷害保険
  • 偶然な事故による傷害で入院した楊合、入院保険金の支払い対象となる。
  • 現金の盗難も携行品損害の補償対象であり、一般的に5万円を限度に携行品損害保険金の支払い対象となる。
  • 偶然な事故により他人にケガをさせ、法律上の賠償責任を負った場合、個人賠償責任保険金の支払い対象となる。
  • 地震による傷害で通院した場合、通院保険金の支払い対象とならない。
国内航空傷害保険
  • 国内航空傷害保険を契約することで、国内で航空機に乗客として搭乗中のケガの補償を用意することができる。
  • 契約方法をモバイル契約のみにしたワンフライト保険も販売されている。
生産物回収費用保険(リコール費用保険)
  • 生産物回収費用保険(リコール費用保険)は、製造・販売した製品が原因で、第三者がケガをしたり、またはそのおそれがある場合に回収する生産物の輸送費用、廃棄費用等を補償する保険である。
  • リコール実施が以下の内容により客観的に明らかになることを、保険金支払いの要件とする損害保険会社が多い。
    • 行政庁に対する届出、報告等
    • 新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等の媒体による社告
    • 回収等の実施についての行政庁の命令
天候デリバティブ
  • 冷夏、暖冬などの気候変動による企業の減収を補償する金融派生商品。
    • 一般的には、事前に、一定のプレミアム(契約料)を支払うことにより、異常気象(猛普・暖冬・多雨など契約時に定めた対象指標の変動)が発生した場合に、補償金を受け取ることができる仕組みのものをいう。
    • 損害保険では、風水害など、実際に損害額が確定しないと保険金が支払われないが、天候デリバティブでは、設定された異常気象が発生すれば、実際の損害額にかかわらず約定した補償金を受け取れる。
 中堅・中小企業と損害保険設計
法人向け火災保険の特約
  • 「拡張担保特約」は、普通保険約款で除外されている事故による損害を補償するため、約款に定める担保範囲を拡張して個々の契約者のニーズに合った保険契約を提供することを目的として設けられた特約の総称である。
    • 地震危険担保特約
      • 地震危険担保特約は、各損害保険会社が独自で取り扱っているため、引受条件ならびに特約保険料は損害保険会社によって異なる。
      • 主契約の保険金額の30%〜50%で保険金額を設定するのは家計地震保険のみである。
        • 地震危険担保特約における保険金額の設定方法には、「支払限度額方式」と「縮小支払方式」の2つの方法がある。
          • 支払限度額方式…契約特に設定した支払限度額まで、損害額から1回の事故につき所定の免責金額 を差し引いた額を支払う方法。
          • 縮小支払方式……実際の損害額から所定の免責金額を差し引いた額にあらかじめ設定した縮小割合を乗じた額を支払う方法。
    • 水災危険担保特約
      • 水災危険担保特約は、台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ等の事故による損害に対して保険金が支払われる。
法人の地震保険
  • 法律に基づく地震保険制度
    • 地震保険制度は被災者の生活の安定を目的とする保険であるため、保険の対象は居住用建物および居住用建物に収容されている家財一式に限る。
      事業専用の建物や設備・什器、商品・製品は地震保険の対象にならない。
  • 地震危険補償特約(地震危険担保特約)
    • 火災保険にセットで加入する。
    • 保険プランはオーダーメイド。
    • 補償内容
      • 地震や噴火による火災、破裂・爆発、津波、洪水その他の水災によって生じた損害
      • 地震や噴火によって生じた損壊、埋没または流失の損害
      • 出費補償
        • 残存物取り片づけ費用など
      • 住居用建物・家財の地震保険では被害状況に応じて全損、半損、一部損という3段階で支払われる保険金の割合が決まっている。
        これに対して「地震危険補償特約」では実際の損害に応じて保険金が支払われるため、被災した建物の復旧により役立つ。
        • 支払限度額(契約金額)、免責金額(自己負担額)などを任意で設定し、保険料は個別に算出する。
企業費用・利益総合保険
  • 「企業費用・利益総合保険」は、工場や倉庫などの施設・設備等が偶然な事故により物的損害を被った時や突発的な原因によって電気等の供給が中断した場合に、企業の営業・生産活動が休止・阻害されたために生じた休業損害または営業継続費用の両方またはいずれかを支払う保険をいう。
    (火災等の事故により店舗や工場が損害を受けた場合の利益損失は、火災保険では支払われない。)
    • 補償内容
      • 偶然な事故や突発的な原因によって営業の休止を余儀なくされたとき、または阻害されたことによる休業損失(利益の喪失・人件費等固定費の支出)を補償する。
    • 対象となる事故
      • ほとんどすべての偶然な事故による休業損失を補償する(一部の危険を補償対象から外すことも可)。
        • 火災、落雷、破裂、爆発、風災、雹災(ひょうさい)、雪災、建物外部からの物体の落下・飛来・衝突、電気的事故・機械的事故、給排水設備等の事故による水濡れ(みずぬれ)、騒擾(そうじょう)・集団行動、盗難・破損等の偶然な事故により店舗や工場等が損害を受けた場合。
          • 火災や風災等の事故により店舗、工場等が損害を受けた。
        • 電気・ガス等の供給が中断した場合。
          • 電気や、水道等、公共インフラの供給が中断された。
    • 保険金
      • 喪失利益
        • 売上高(又は生産高)の減少額×契約時に定めた割合(約定てん補率)。
        • 売上高の減少を防ぐために必要な費用。
          • その費用の支出によって減少することを免れた営業収益に約定てん補率を乗じて得た額を限度とする。
      • 支払保険金の限度額
        • 契約時に、予想される最大の損害額をもとに支払限度額(保険金額)を定めるか、予想される最大の復旧期間をもとにてん補期間を定める。
          • てん補期間=保険金支払いの対象となる期間。
    • 主な免責事項
      • 故意、重大な過失または法令違反により生じた損害
      • 戦争、暴動、地震、噴火、津波による損害等
会社役員賠償責任保険
  • 被保険者と保険対象
    • 会社役員賠償責任保険における被保険者は役員個人であり、被保険者が会社の役員として行った業務に起因して損害賠償請求がなされたことにより被保険者が被る損害(法律上の損害賠償金、訴訟費用)に対して保険金を支払う。
      • 被保険者が会社の役員として行った業務に起因して、”会社に対して損害賠償請求”がなされても補償の対象とならない。
    • 会社または役員以外の第三者が原告として役員の法律上の賠償責任を提訴する第三者訴訟が保険対象。第三者には株主、事業提携先のほか、従業員も含まれる。
    • 保険契約者
      • 非上場企業においても第三者訴訟、株主代表訴訟のリスクはあり、保険契約者となることができる。
    • 免責事項
      • 役員が法令に違反すると認識しながら行った行為に起因する損害賠償請求は免責となっている。
 火災保険の圧縮記帳
  • 建物等の固定資産の場合、受け取った保険金でその建物等の代替資産を取得したときは、帳簿価額を上回る額(保険差益)に一時に課税されないよう、課税の時期を延期する方法として圧縮記帳が認められる。
    • 法人が有する固定資産の滅失又は損壊のあった日から3年以内に支払の確定した保険金、共済金又は損害賠償金(保険金等)の支払を受けた事業年度に、その保険金等で代替資産を取得するか、改良をした場合は、圧縮限度額の範囲内で帳簿価額を損金経理する圧縮記帳の適用を受けることができる。
      保険金等の支払に代えて代替資産の交付を受けた場合にも、代替資産について、圧縮記帳をすることがでる。
    • 保険金等の支払を受けた事業年度に代替資産の取得又は改良ができない場合、翌期首から原則として2年以内に代替資産の取得又は改良をする見込みであるときは、圧縮限度額の範囲内の額を特別勘定として経理し、損金の額に算入することができる。(平成26年4月1日現在法令等)
    • (設例)
    • 火災保険契約内容 保険金と代替資産 圧縮記帳
      • 保険の目的:社屋建物(帳簿価額3,200万円
      • 保険金額:4,200万円
      • 保険の目的の建物焼失
      • 保険金4,200万円入金
      • 代替資産を3,400万円で取得
      • 建物焼失に伴う経費支出200万円
      • 保険差益 : 4,200万円(保険金)−200万円(経費)−3,200万円(帳簿価額)=800万円
      • 圧縮限度額:800万円×3,400万円(再取得価額)/(4,200万円−200万円=680万円
        (圧縮限度額 ≦ 保険差益)
      • 取得建物の帳簿価額:3,400万円−680万円=2,720万円
 災害減免法、雑損控除
  • 災害減免法による所得税の軽減免除
    • 災害にあった年の所得金額の合計額が1,000万円以下の者で,災害により住宅、家財に損害を受け、損害額から保険金・損害賠償金等を差し引いた残額が、時価の1/2以上となった場合、その災害による損失額について雑損控除を受けない場合は、災害減免法によりその年の所得税が軽減、又は免除される。
      • 所得金額の合計額が1,000万円以下の者。
      • 災害により住宅、家財に損害を受け、損害額から保険金・損害賠償金等を差し引いた残額が、時価の1/2以上となった場合。
      • 損失額について雑損控除を受けない場合。
  • 雑損控除
    • 納税者本人、納税者と生計を一つにする総所得金額等が38万円以下の配偶者やその他の親族が所有する自宅建物、家財(家具、什器、衣服、書籍、冷暖房装置等の生活に通常必要な資産)、車輛等資産が、災害又は盗難、横領によって、損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができる。
      • 詐欺や恐喝の場合は、雑損控除は受けられない。
    • .損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除できる。
      • 雑損控除は他の所得控除に先だって控除する。
  • 雑損控除 災害減免法による所得税の軽減免除
    災害によって受けた住宅や家財の損害 ○ (何れかを選択)
    盗難、横領によって、資産に損害 ×
    対象資産 生活に通常必要な資産 損害額が時価の1/2以上である住宅、家財
    所得制限 なし 所得金額の合計額が1,000万円以下
    控除しきれない場合、翌年以後に繰越 3年間繰越 ×
    所得税の軽減方法 所得控除 税額控除
    確定申告 必要
 損害保険契約者保護機構

損害保険契約者保護機構

  • 【損害保険契約者保護機構による補償対象】
  •   保険金支払い 解約返戻金・
    満期返戻金など








    自賠責保険、家計地震保険 補償割合100%
    任意の自動車保険
    ★火災保険
    ★その他の損害保険
    (賠償責任保険、動産総合保険など)
    破綻後3か月以内は補償割合100%
    3か月経過後は補償割合80%
    補償割合80%










    短期の傷害保険

    特定の海外旅行傷害保険

    年金払型積立傷害保険

    財産形成貯蓄傷害保険

    確定拠出年金傷害保険

    補償割合90% 補償割合90%
    その他の疾病・傷害保険
    (上記以外の傷害保険、所得補償
    保険、医療・介護(費用)保険など)
    補償割合90%
    (積立型保険の場合、
    積立部分は80%)

    ★印の保険については、契約者が個人・小規模法人・マンション管理組合の契約に限る。


保険関連紛争解決機関
  • 生命保険関連紛争解決機関
    • 一般社団法人生命保険協会
      • 「一般社団法人生命保険協会」は、保険業法に定める指定紛争解決機関として、金融庁より指定を受け、生命保険業務、外国生命保険業務に関する苦情処理手続および紛争解決手続等の業務を平成22年10月1日より行っている。
    • 特定非営利活動法人証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)
      • 登録金融機関業務(投資信託販売業)に関する苦情・紛争について利用可。
  • 損害保険関連紛争解決機関
    • 金融ADR制度の紛争解決機関として損害保険の分野で指定を受けている団体には、一般社団法人保険オンブズマンと一般社団法人日本損害保険協会内の「そんぽADRセンター」がある。
      • そんぽADRセンター
        • 一般社団法人日本損害保険協会内の「そんぽADRセンター」では、損害保険に関する一般的な相談や、自動車保険・自動車損害賠償責任保険の保険金請求に関する相談を行う。
      • 保険オンブズマン
        • 一般社団法人「保険オンブズマン」は、保険の事業者に関する苦情や、保険契約者と保険の事業者の間のトラブルを、公正・中立、簡易・迅速に解決することを目的に、新たに設立された「裁判外紛争解決手続(ADR)」の専門機関。
          • 外資系損害保険会社、保険仲立人(保険ブローカ)とのトラブルについて取り扱っている。
            • 現在、保険オンブズマンと契約を締結している主な事業者は、外資系損害保険会社と保険仲立人。
          • 保険オンブズマン会員会社の商品、サービス、事業活動等についての問題を当事者間で解決できない場合に、解決の申立てを行うことができる。
    • 一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構
      • 一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構は、自動車損害賠償責任保険または自動車損害賠償責任共済からの支払いに係る紛争の公正かつ適確な解決による被害者の保護を図るための事業を行っている。
    • 公益財団法人交通事故紛争処理センター
      • 自動車事故に伴う損害賠償の紛争に関する法律相談、和解あっ旋及び審査を無料で行う。
      • (対象外)
        • 保険契約者と保険の事業者の間の保険金の支払いに関する紛争は対象外。
 所得金額から差し引かれる金額(所得控除)
医療費控除
  • 医療費控除
    • 自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができる。これを医療費控除という。
    • 所得税基本通達73−1(生計を一にする親族に係る医療費)
      法第73条第1項に規定する「自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費」とは、医療費を支出すべき事由が生じた時又は現実に医療費を支払った時の現況において居住者と生計を一にし、かつ、親族である者に係る医療費をいう。
  • 医療費控除の対象となる医療費の要件
    • (1) 納税者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
    • (2) その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること。
  • 医療費控除の対象となる金額
    • 医療費控除の対象となる金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)。
      • (実際に支払った医療費の合計額-(1)の金額)-(2)の金額
        • (1) 保険金などで補てんされる金額
          • (例)生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など
            • (注)保険金などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差引くので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差引かない。
        • (2) 10万円
          • (注)その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等5%の金額
生命保険料控除
 火災発生時、法律上の責任関係
  • 失火の責任に関する法律(略称:失火責任法又は失火法、以下「失火法」)
    • 「民法第709条の規定は失火の場合にはこれを適用せず。但し失火者に重大なる過失ありたるときはこの限りにあらず」
      「失火法」は、この1条のみから成る短い法律で、民法709条の例外として明治32年に議員立法で制定されました。
    • 民法709条は不法行為責任、すなわち、故意や過失によって他人の権利等を侵害した場合には損害賠償責任を負うことを定めています。
    • 民法709条
      • 故意または過失によって他人の権利を侵害したる者はこれによって生じたる損害を賠償する責めに任ず。
        (故意や過失により他人に迷惑をかけた場合(不法行為)には、民法709条に基づき損害賠償をしなければならない。)
    • しかし、失火については民法のこの原則が適用されず、火災で類焼させた失火者は、失火法の規定により賠償責任を問われません(火元になった人に重過失があった場合を除く)。
      木造家屋が多く、都市部に住宅が密集しているわが国では、歴史的にたびたび大火事に見舞われ、失火者に対して民法709条の不法行為責任を適用すると、巨額の賠償金を負担しなければならない一方で、多くの場合失火者自身が火災によって財産を失い、賠償資力が乏しい等の背景があり制定された法律です。
  • 「失火法」が適用される要件

    • 失火であること(爆発等は含まれない)

      • 爆発と失火責任
        • 爆発は失火ではないので、火薬類による爆発事故については失火法の適用はなく、民法709条により軽過失であっても賠償責任が生じる(大審院・大正2年2月5日)。
        • 失火法の適用がない場合、倍賞責任保険の補償対象となる。
    • 重過失がないこと

       「失火法」で言う重過失については、以下の判例が長らくその判断のよりどころとされてきた。
      「重大な過失とは、通常人に要求される程度の相当な注意をしないでも、わずかの注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然これを見すごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指すものと解するのを相当する(略)。」(最高裁判決昭和32年7月9日)
      • この判例を受けて、重過失は「故意に近い」と定義されることがあるが、昨今の判例では、故意と過失の間において総合的な判断の下で重過失を問う傾向がみられる。
  • 責任無能力者による失火

    • 失火法単体では重過失でないことのみを要件としており、失火者の責任能力の有無については規定を欠いている。そのため、責任能力に関する判断は失火責任法のもととなる民法709条の除外規定である同713条を適用するのが通例である。責任能力者の失火責任は、重過失がない限り失火責任法のみの解釈で判断することができるが、責任無能力者の失火責任は、民法713条ならびに714条を考慮して判断する必要があるということになる。
      • 民法709条の不法行為責任は、同713条にて精神上の障害者は責任能力がないために責任を免除するとしている。さらに、同714条では、被害者保護のために精神上の障害者の監督義務者に損害賠償を負わせるとしている。

        • 認知症の高齢者が著しい不注意で失火した場合、原則的には失火責任法の適用は受けられないことになるが、民法709条ならびに713条によって責任無能力者は不法行為による損害賠償責任を負わない。しかし、同714条によって責任無能力者の監督義務者は管理監督責任を問われる可能性が出てくる。

          • 2013年に認知症の男性が妻の留守中に火事を発生させて隣家を延焼させた事件では、隣家から監督義務者である妻に賠償請求が起こされた。
            一審では妻の重過失が認められたものの、控訴審では妻の責任を否定して和解となった。責任無能力者の監督義務者の監督に重過失があった場合に、その責任を認めるのが通説となっているが、実際には個々の事象を勘案して判断されているようだ。在宅介護が進む昨今では、このようなリスクは今後増加していく可能性がある。
          • 責任無能力者の監督義務者は、管理監督責任を問われた場合に備えて個人賠償責任保険(特約)などでリスクを保全する必要性がある。
            個人賠償責任保険(特約)では、「被保険者の故意による損害賠償責任」は免責となっているが、「重過失」は有責となっている。そのため、責任能力者の失火が重過失と判断されて失火責任法が適用とならないケースにも備えることができる。
  • 賃貸物件の場合

    • 失火法では、自分が住んでいる賃貸物件から失火したときも、近隣からの延焼で自分に損害があったときも、(失火法上は)誰にも賠償責任は発生しません。
       ↓
    • 賃借人が失火により借りている部屋や家を燃やしてしまった場合、家主から借りている部屋(債務)を返すことができない(不履行)ため、民法709条の不法行為とは別の責任(民法415条、債務不履行責任)が発生します。
      • 「失火法」は民法709条の不法行為責任の特別法であり、民法415条の債務不履行責任には適用されません。つまり、借家人が不注意や軽度の過失により失火を引き起こし、借家を焼失させた場合、家主に対する債務不履行責任(借りたものを返せないなど)を問われ、損害賠償責任を免れないことになります。
        • 借家人は、家主との賃貸借契約により、契約期間満了後は借りている部屋や家を元に戻して返すことになっている。
    • 借家人は、このようなリスクに備えて、損害保険会社では「借家人賠償責任保険(特約)」を用意しています。
  • 借家人賠償責任保険
    • 「借家人賠償責任保険」(借家人賠償責任補償)は、賃貸している住宅が火災・破壊・爆発事故により生じた損害について、法律上の賠償責任を補償する保険である。
      • 通常は、火災保険の付帯契約(借家人賠償責任保険特約)の形をとる。
        • 賃貸居住者向けに、損害保険会社が家財を目的とした火災保険と、借家人賠償責任保険をセット保険として販売している。
    • 「個人賠償責任保険」は、「借家人賠償責任保険」の代りにはならない。
      • 共同住宅で、階下に水漏れさせ損害が発生したときは、「個人賠償責任保険」が必要になる(借家人賠償責任保険は大家さんに対して損害賠償)。
      • 誰に、どんなケースで損害賠償するのかで対応する保険も違うため、賃貸住宅物件用の火災保険には、「借家人賠償責任保険」、「個人賠償責任保険」が付帯されている。
 従業員の福利厚生に係る税務
  • 給与等に係る経済的利益(所得税基本通達)
  • 通勤手当
    • 役員や使用人に通常の給与に加算して支給する通勤手当や通勤定期券などは、一定の限度額まで非課税となる。新幹線代も含まれるが、グリーン料金は認められない。
      最も経済的かつ合理的な経路および方法による通勤手当や通勤定期券などの金額が、1ヵ月当たり10万円を超える場合には、10万円が非課税の限度額となる(所得税法第9条第1項第5号、同法施行令第20条の2第1号、同基本通達9-6の3)。
  • 永年勤続表彰 、記念行事
    • 使用者が永年勤続した役員または使用人の表彰に当たり、その記念として旅行、観劇等に招待し、または記念品(現物に代えて支給する金銭は含まない)を支給することにより当該役員または使用人が受ける利益で、当該利益の額が、社会通念上相当と認められる場合、課税しなくてもよい(同基本通達36-21)。
      • 全従業員に対して商品券を支給した場合、課税対象。
      • 本人が自由に記念品を選択できる場合にも、その記念品の価額が給与として課税される。
  • レクリエーション・旅行の費用
    • 使用者が、従業員等のレクリエーションのために行う旅行の費用を負担することにより、これらの旅行に参加した従業員等が受ける経済的利益については、4泊5日以内で全従業員の50%以上が参加し、不参加者に会社が旅行費用相当額の金銭を支給しない場合には、課税しなくてもよい(同基本通達36-30)。
  • 食事代の負担
    • 食事の価額の50%以上を役員や使用人が負担し、かつ、会社負担額が月額3,500円以下の場合は課税しなくてもよい(同基本通達36-38の2)。
  • 生命保険の保険料補助
    • 企業が、従業員が保険契約者である生命保険の保険料を負担する場合は、会社が従業員に対して社会保険料相当額の補助を行っていなければ、その従業員につきその月中に負担する金額の合計額が300円以下である場合は課税されない(同基本通達36-32)。
    • 従業員が自ら契約した生命保険の保険料を会社が補助した場合の補助金は、会社が労働者の福利厚生のために使用者が負担するものであるため賃金とはならない。
      (S63.3.14基発150号)
  • ポイント制退職金制度
    • ポイント制退職金制度とは、勤続年数や職能等級、役職等の要素ごとにポイントを設定し、その合算ポイントにポイント単価を乗じて算出する方法。近年、能力主義を反映させやすいこのやり方が、急速に普及している。
      • 勤続ポイントと在職中の企業への貢献度に応じて毎年ポイントを付与し、これを累積したものにポイント単価を乗じて退職金額を算定する。

        「ポイント制退職金」=「勤続ポイント累計+資格ポイント累計」×「ポイント単価」
 企業年金等
 弔慰金、死亡退職金の税務
弔慰金、死亡退職金の税務
  • 弔慰金
    • 相続税法での弔慰金(相続税法基本通達3-20)
      • 会社の規程に基づき従業員の遺族が受け取る弔慰金は、業務上死亡は死亡時における賞与以外の普通給与の36ヵ月分、業務外死亡は死亡時における賞与以外の普通給与の6ヵ月分までは非課税となる。
    • 税務
      • 企業が従業員の遺族に支払う弔慰金についての法人税法上の具体的な損金算入規定はない。しかし、相続税法での弔慰金の非課税金額に準じて、業務上死亡については死亡時における賞与以外の普通給与の36ヵ月分、業務外死亡については死亡時における賞与以外の普通給与の6ヵ月分まで、死亡退職金とは別に損金算入できるとされている。
  • 死亡退職金
    • 従業員の遺族が受け取る死亡退職金はみなし相続財産となり、個人で加入した生命保険の死亡保険金とは別に、相続税法第12条の「500万円×法定相続人の数」の非課税金額が適用される。
    • 企業が従業員の遺族に支払う死亡退職金は、退職金規程に基づき支払う分については全額損金算入できる。
  • 退職金を一時金でなく年金で受け取る場合
    • 退職金を一時金でなく年金で受け取る場合、雑所得となり、老齢厚生年金と同じく公的年金控除の対象となる。
 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律
  • 新たに定年年齢を定める場合に、65歳以上とすることは義務付けられていない。 65歳までの高年齢者雇用確保措置として、
    • 定年の引上げ
    • 継続雇用制度の導入
    • 定年の定めの廃止
      • 「定年の定めの廃止」とは、定年制を設けないことであり、従業員は解雇事由等に該当しない限り、従業員の意思により年齢にかかわらず働き続けることができる。
    のいずれかを講じなければならない(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第8条、第9条)、
  • 継続雇用制度では、特別支給の老齢厚生年金の支給が開始される年齢までは、従業員本人が希望すれば、原則として継続雇用しなければならない(高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針)。
    • 支給開始年齢以降の従業員に対しては継続雇用制度の対象者基準に係る経過措置が認められている。
  • 継続雇用制度では、事業主自らが引き続き雇用を継続するのが原則であるが、それ以外に子会社、親会社、関係会社等資本関係や人的関係があることで、意思決定機関を支配している事業主(特殊関係事業主という)において引き続き雇用を継続することも認められている。
 児童扶養手当
  • 「児童扶養手当」は、父母が離婚するなどして父又は母の一方からしか養育を受けられない一人親家庭などの児童のために、地方自治体から支給される。

    • これまで、公的年金又は遺族補償等(遺族年金、障害年金、老齢年金、労災年金、遺族補償など)を受給する者は児童扶養手当を受給できなかったが、平成26年12月以降は、公的年金又は遺族補償等の受給額が児童扶養手当額より低い場合、その差額分の児童扶養手当を受給できるよう改正になった。
    • 受給資格者(養育者を除く)が、手当の支給開始から5年又は、手当の支給要件に該当してから7年を経過したときは、その経過月の翌月分から手当の2分の1が支給停止される。
    • 所得制限
      • 手当を受ける人の前年の所得(課税台帳上の所得に、前年父(母)又は児童が児童の父(母)から受け取った養育費の8割を合算した額)が一定の額以上ある場合は、その年度(8月から翌年の7月まで)は、手当の全部又は一部が支給停止される。
        • 扶養義務者(同居の直系血族及び兄弟姉妹)等の所得による所得制限もある。
    • 児童扶養手当の額は、物価の変動等に応じて改定される。
 制度共済
「制度共済」とは、農協、漁協、全労済、都道府県民共済、生協等が運営する共済のことであり、生命保険会社と損害保険会社のそれぞれが提供する生命保険商品と損害保険商品に類似する共済商品を提供している。
  • 「制度共済」と保険法
  • 一般消費者からは、「制度共済」と生命保険会社や損害保険会社等の間には、実質的相違はさほど見当たりにくい。
  • 制度面では、5つの相違点があげられる。
    1. 所管する監督官庁
    2. セーフティーネット組織への資金拠出の有無
    3. 適用される法人税率
    4. 販売可能な保険商品
    5. 営利目的の有無
制度共済の医療保障
  • 共済事業
    団体名
    根拠法
    監督省庁
    共済種類 共済期間 掛金 保険法の適用  保険契約者保護機構
    の補償
    1 JA共済
    JA共済連
    農業協同組合法
    農林水産省
    医療共済 終身、80歳満了、
    10年(更新)
    年齢・性別により異なる 適用対象 補償対象外
    2 全労済
    全労済
    消費生活協同組合法
    (生協法)
    厚生労働省
    こくみん共済
    医療安心タイプ
    1年 年齢・性別に関係なく一律
    新総合医療共済 終身、
    5、10、12年
    年齢・性別により異なる
    3 都道府県民共済
    全国生協連
    各都道府県民共済
    生命共済入院保障型
    1年 年齢・性別に関係なく一律
    4 CO・OP共済
    コープ共済連
    CO・OP共済
    ≪ずっとあい≫終身医療
    終身 年齢・性別により異なる
  • 共済事業 共済に加入する
    ための要件
    剰余金・割戻金 遺族保障・医療保障の
    ラインアップ
    1 JA共済 農業関係者の[正組合員]と出資金を払う[準組合員]のほか、組合員の利用高の2割を超えない範囲で組合員以外が共済に加入できる[員外加入]がある 加入した保険の種別や契約内容に応じて、毎年の決算で剰余金が発生した時には配当(割戻金)を受け取れるが、近年はないことも多い 生命保険会社並みのラインアップで、年齢・性別により掛金が異なる共済を扱っている
    2 全労済 職場経由で加入するか、あるいは、地域において100円程度の出資金を払って組合員になることで、共済に加入することができる 掛け捨てタイプの共済について毎年の決算後に剰余金が生じた場合には、年に1回「割戻金」が共済契約者に支払われる 掛金一律型共済「こくみん共済」のほか、年齢・性別により掛金が異なる共済も扱っている
    3 都道府県民共済 金融機関経由で200円程度の出資金を払って組合員になることで共済に加入することができる 毎年の決算後に剰余金が生じた場合には、年に1回「割戻金」が共済契約者に支払われる 掛金一律型共済「県民共済」(都道府県によって名称は異なる)を扱っている
    4 CO・OP共済 コープ共済へ加入するには、出資金(生協によって額は異なる)を支払って、近くの生協の組合員になることが必要 毎年の決算後に剰余金が生じた場合には、年に1回「割戻金」が共済契約者に支払われる 掛金一律型共済「たすけあい」のほか、年齢・性別により掛金が異なる共済も扱っている
JA共済
  • 生命共済の保障内容見直し
    • JAの生命共済の保障内容を見直す場合、所定の範囲で現在加入している共済掛金積立金等を充当し、他の種類の契約に変更する転換制度を活用することができる。
      • (例)養老生命共済から終身共済への転換や、医療共済から終身共済への転換等が可能。
  • 員外加入の制度
    • JA共済には員外加入の制度があり、組合員以外でも利用することができる。
  • JA共済の取り扱う建物更生共済
    • 地震も保障
      • 火災や盗難などの事故、台風、大雪、竜巻や地震などの自然災害による損害も、保障。
    • 満期共済金
      • JA共済の取り扱う建物更生共済は、掛捨てではなく、保障期間満了時に満期共済金を受け取ることができる。
      • 満期共済金は、一括で受取ることも、分割して受取ること(ボーナスプラン)もできる。
    • ケガにも備えられる
      • 契約の対象について発生した火災や自然災害によって、ケガをしたり、死亡したときには、傷害共済金を支払い。
    • いろいろな出費。
      • 火災や自然災害に被災したときに発生する残存物のとりかたづけに必要な費用や消火にかかった費用のほか、当面の生活に必要な費用等を支払。
全労済
  • 全労済の取り扱っているこくみん共済は加入可能な年齢において掛金が一律の商品があるが、「新総合医療共済」は年齢・性別によって掛金が異なる。
  • 全労済の取り扱う自然災害保障付火災共済
    • 全労済の取り扱う自然災害保障付火災共済は、火災や風水害・地震・盗難等による損害が補償される。
県民共済
  • 県民共済の取り扱う新型火災共済
    • 県民共済の取り扱う新型火災共済は、出資金を払い込んで組合員となることで加入することができる。
  • 保障の引継
    • 県民共済事業は、39都道府県のネットワーク事業であり、転居先の都道府県民共済(神奈川県では全国共済と呼称)に管理を移す手続きをすることにより、保障が引き継がれる。
CO・OP共済連
  • 消費生活協同組合法に従い、資産運用のリスクを適切に管理し、健全な資産運用を行い、長期的な視点で安定した事業運営を行っている。
    • 厚生労備省令で定める共済契約準備金を積み立て、将来の支払いに備えている。
    • 毎年の決算で剰余金が生じた揚合、保険契約者に割戻金が支払われる。
  • CO・OP共済連の取り扱う火災共済
    • 借家の場合は生協の組合員が居住する住宅であっても、建物を共済の目的とすることができない。
 保険金、保険料、取扱手続
過失割合のある事故の自動車保険の保険金
  • 交通事故の過失割合
    • 「交通事故の過失割合」とは、交通事故におけるお互いの過失(不注意)の度合いを割合で表したもの。
    • 任意保険の場合は、過失割合に応じて過失相殺が行われる。
  • 物損に対する過失割合と人身に対する過失割合
    • 同じ事故に対する過失割合なので、基本的には物損・人身ともに同じ過失割合となる。
      • 実際の事故の解決にあたっては、
        1. まず物損について示談。この際に過失割合を決定する。
        2. その後、ケガの治療が終了してから改めて人身の示談を行う。この際にも、物損で決めた過失割合を適用する。
  • 対人賠償や対物賠償の補償金額が「無制限」のとき。
    • 「無制限」とは、本来負担すべき正当な賠償の範囲内であれば、上限なく保険金を支払うという意味。
    • 当事者双方に過失がある場合、自分の過失割合の範囲内で、賠償上正当な金額を無制限に支払う(過失割合にかかわらず無制限に支払う意味ではない)。
  • 人身事故の対人賠償
    • 自賠責保険
      • 「自賠責保険」は被害者救済を目的としているので、ケガをした人に7割以上の過失がある場合のみ保険金を減額すると決められている。
        ケガをした人の過失が7割未満の過失の場合、自賠責保険の支払基準内であれば、物損で決めた過失割合にかかわらず、全額支払される。
    • 契約車両に乗っていて事故で死傷した場合 契約車両以外の車に乗っていて死傷した場合 歩行中等に自動車事故で死傷した場合
      人身傷害補償保険
      (実損払い)

      ドライバーを含む搭乗者全員

      記名被保険者とその家族のみ

      記名被保険者とその家族のみ
      搭乗者傷害保険
      (定額払い)

      ドライバーを含む搭乗者全員
      ×
    • 人身傷害補償保険
      • 1998年の自動車保険の自由化により新しく開発された保険。
        被保険車に搭乗中の人が交通事故で、死傷した場合、損害額に応じた保険金が、支払われる。
      • 示談交渉の結果に関係なく保険金を受け取れる。
        • 通常、相手のある事故の場合は、示談が成立してからでなければ賠償金を受け取ることはできないが、人身傷害補償保険では示談の成立に関係なく保険金を受け取れる。
      • 自分自身の過失分を含めて、実際にかかった損害額を補償してもらえる。
        • 実際にかかった損害(入院・通院費等の治療費、休業補償、慰謝料など)を補償してもらえる。
          • 歩行中など、車に乗っていないときの事故。契約者本人とその家族であれば、歩行中や自転車に乗っているときの自動車事故も補償される。
        • 単独事故も補償
          • 不注意でガードレールにぶつかったなど、相手のいない単独事故の損害も補償される。
      • 補償の二重取りができるわけではない。
        • 人身傷害補償保険の保険金額が、5,000万円で、被保険者の損害額が4,000万円の場合、被保険者は保険会社から人身傷害補償保険の保険金として4,000万円を受け取る。
        • 加害者の過失割合が70%だとして、事故の相手が契約している保険会社から賠償金2,800万円が受け取れる場合、その賠償金2,800万円は、被害者に人身傷害補償保険の保険金を支払った保険会社が受け取る事になる。
保険金保険料請求の時効
  • 保険給付を請求する権利は、3年間行わないときは、時効によって消滅する(保険法第95条第1項)。
    • 自動車損害賠償責任保険において、事故後、何らかの事情で保険金の請求が遅れ、時効になるおそれがある場合は、保険会社に対して時効中断申請書を提出して承認を受けておくことで時効を中断することができる。
  • 保険会社が保険料を請求する権利は、1年間行わないときは、時効によって消滅する(「同法同条第2項」。
  • 自賠責保険の時効の起算日
保険法
  • 保険の用語
  • 契約締結時の告知についてのルール
    • 保険契約者等を保護するため、保険法の施行により、契約締結時の告知についてのルールが整備された。
      契約締結時の告知について、自発的申告義務から質問応答義務(保険会社が「事実の告知を求めた事項」に答えればよい)へ変更された(同法第37条、第66条)。
      なお、実務上、従来から生命保険会社では、契約締結時に、告知義務の対象となる重要な事項を告知書としてあらかじめ作成し、告知書において告知を求める「質問応答義務」の形式を取ってきた。
    • 損害保険契約を締結したとき
      • (保険法第六条) 保険者は、損害保険契約を締結したときは、遅滞なく、保険契約者に対し、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
        • 一 保険者の氏名または名称
        • 二 保険契約者の氏名または名称
        • 三 被保険者の氏名または名称その他の被保険者を特定するために必要な事項
        • 四 保険事故
        • 五 その期間内に発生した保険事故による損害をてん補するものとして損害保険契約で定める期間
        • 六 保険金額(保険給付の限度額として損害保険契約で定めるものをいう。以下この章において同じ。)または保険金額の定めがないときはその旨
  • 被保険者が保険契約者に対して保険契約の解約を請求
    • 生命保険契約は長期にわたる契約なので、契約締結時の状態から事情が変化することがありえる。
      保険法の施行により、保険契約者と被保険者が異なる場合、保険契約者と被保険者との間の親族関係の終了等により、被保険者が保険契約の申込みの同意をするに当たって基礎とした事情が著しく変化した場合には、被保険者が保険契約者に対して保険契約の解約を請求することができるようになった(同法第58条、第87条)。
  • 債権者等が保険契約を差し押さえたとき
    • 保険契約者の債権者等が保険契約を差し押さえて、債権回収を目的に保険契約の解約を保険会社に請求し、保険契約が解約されると、その後の保険金受取人等の生活保障機能が失われることとなる。
      保険法の施行により、一定範囲の保険金受取人(保険契約者の親族、被保険者の親族、被保険者本人)が保険契約者の同意を得て、1ヶ月以内に解約返戻金相当額を債権者等へ支払い、かつ保険会社に通知することによって、保険契約を存続させることができるようになった。
      • 対象契約は、死亡保険契約、傷害疾病定額保険のうち解約返戻金のあるものである(同法第60条〜第62 条、第89条〜第91条)。
  • 解約時に未経過保険料が返還される条件
    • 保険料の払込み方法(回数)が年払いまだは半年払いの場合、平成22年3月以前の保険契約では、保険料を払い込んだ期間の途中に解約等で保険契約が消滅したとき、末経過分の保険料は返還されなかった。
      保険法の施行により、保険料が返還されないものは、保険契約者、被保険者または保険金受取人の詐欺・強迫による取消しの場合、遡及保険で無効の場合とされた (同法第93条)。
      • 平成22年4月1日以降に締結した保険料の払込み方法が年払いまだは半年払いの保険契約では、保険料を払い込んだ期間の途中に解約等で保険契約が消滅した場合、未経過期間に対する保険料相当額が保険契約者等に返還されることとなった。
      • 月払いもしくは一時払い、または頭金制度を利用した契約の一時払い部分は、返還されない。
    • 解約したときに未経過保険料が返還される条件
    • 契約日 2010年3月2日以降の新規契約(更新契約)
      保険料の払込方法 年払い、半年払いのみ
      解約返戻金タイプ 無解約返戻金型、低解約返戻金型以外の契約

  • 遺言による保険金受取人の変更
    • 保険法の施行により、保険金受取人の変更は、遺言によってもできるよう明文化された。
      遺言による保険金受取人の変更は、保険契約者が死亡した後に、保険契約者の相続人が保険会社に通知しなければ、保険金受取人の変更があったことを保険会社に対して主張することはできない。
      また、保険会社へ通知する前に、変更前の受取人から死亡保険金の請求があり、死亡保険金が支払われた場合は、その支払いをもって完了となる(同法第43条、第44条、第72条、第73条)。
  • 「少額短期保険」、「制度共済」と保険法・保険業法

    • 保険法は、契約当事者間における契約の一般的なルールとして少額短期保険の保険契約に適用される(保険法第2条第1項)。
      • 保険業法には、少額短期保険業者に対する監督や保険募集に関する規制が定められている(保険業法第272条の22、第272条の23、第300条)。
    • 保険法は、共済、保険の名称を問わず保険契約と同様の実質を有するJA共済、全労済、都道府県民共済、CO・OP共済の各共済契約に適用される(同法同条同項)。
      • 保険業法は、他の法律に特別の規定があるものを同法から適用除外している(同法第2条第1項第1号)。 
        • JA共済に対する監督や共済募集に関する規制は、農業協同組合法に定められ、全労済、都道府県民共済、CO・OP共済の各共済団体に対する監督や共済募集に関する規制は、消費生活協同組合法に定められている。
 相続、贈与
 所得と贈与
  1. 「所得」とは
    • 所得とは、収入等の形で新たに獲得する経済的利得をいう。
      • 個人が獲得した所得は、その所得の発生源泉に応じて10種類に分類され、これらの所得に対して所得税が課税される。
        • 所得の種類 摘  要
          1 利子所得 預貯金や公社債の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得
          2 配当所得
          • 株主や出資者が法人から受ける配当
          • 投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託以外のもの)及び特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得
          3 不動産所得 土地や建物などの不動産、不動産の上に存する権利、船舶又は航空機の貸付けによる所得
          • 地上権又は永小作権の設定その他、他人に不動産等を使用させることを含む
          • (事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く
          4 事業所得 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得
          • 不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になる
          5 給与所得 勤務先から受ける給料、賞与などの所得
          6 譲渡所得 土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得、建物などの所有を目的とする地上権などの設定による所得で一定のもの。
          • 事業用の商品などの棚卸資産、山林、減価償却資産のうち一定のものなどを 譲渡することによって生ずる所得は、譲渡所得とならない
          7 退職所得 退職により勤務先から受ける退職手当や加入員の退職に基因して支払われる厚生年金保険法に基づく一時金などの所得
          8 山林所得 山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得を いいます。
          • 山林を取得してから5年以内に伐採又は譲渡した場合には、山林所得ではなく、 事業所得又は雑所得になる
          9 一時所得 一時所得とは、上記1から8までのいずれの所得にも該当しないもので、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外のものであって、
          労務その他の役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいう
          1. 懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金
          2. 生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金
          3. 法人から贈与された金品
          10 雑所得 雑所得とは、上記1から9までの所得のいずれにも該当しない所得で、例えば次に掲げる所得が該当する
          1. 公的年金等
          2. 非営業用貸金の利子
          3. 著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税
  2. 贈与
    • 「所得」の定義からすると、個人が贈与により取得した財産に係る所得は一時所得に該当することになる。
      ただし、所得税法第9条第1項で、
      「次に掲げる所得については、所得税を課さない。」(非課税所得)
      • 第16号、「個人からの贈与により取得するもの」
      という規定があり、所得税の非課税所得となり、所得税は課税されない。
      • 第16号の規定は「個人からの…」と規定されているため、法人からの贈与財産に係る所得は非課税とならず、上記のとおり一時所得として所得税が課税される。
    • 相続税法第1条の4(贈与税の納税義務者)第1号
      • 「贈与により財産を取得した個人で…」と規定されており、財産を無償で与えられた個人に対しては贈与税が課税される。
        • ここでは、”個人からの贈与財産”とは規定されていないが、次の規定により、法人からの贈与により取得した財産については贈与税は課税されない 。
          • 「相続税法第21条の3(贈与税の非課税財産)第1項」…次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。
            • 「第1号」…法人からの贈与により取得した財産。

ページトップへ