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JALの破綻によって、「確定給付型企業年金」の給付原資が、実は脆い基盤の上に構築されている事が明らかになった。

「確定給付型」企業年金と「確定拠出型」企業年金

 企業年金には、退職後の給付額が確定している「確定給付型」と、社員勤務期間中の拠出額のみが決まり退職後の給付は変動する「確定拠出型」の2種類ある。
 企業が拠出した年金掛金は給付までの長期間にわたり年金資産としてプールされ、生保、信託会社に運用を委託するのだが、運用結果の成否(運用リスク)を誰が負担するかという問題が存在する。
「確定給付型」と「確定拠出型」の違いを煎じつめれば、運用リスクを企業が負うのが「確定給付型」で、年金受給者が負うのが「確定拠出型」だといえる。

「確定給付型」企業年金に加入時の経済環境の中で、受給者にも企業にも合理的な選択だった

 「確定給付型企業年金」(企業年金の中核であった「税制適格退職年金制度(平成24年3月31日で廃止)」及び、平成14年4月から施行されている「確定給付企業年金(DB)」)の給付額の計算は、日本企業の鼻息が荒い時代に5%以上という高い運用利回りをベースに年金給付額を決めていた(因みに最近は低い)。
 ”デフレーション”という言葉は小学校で習ったが実体験は無く、”土地神話”、”株は上がるもの↑”、”賃上げは必ず毎年あるもの”、”内需が駄目でも外需があるさ♪”、”長期債なら安全確実、利回りもそこそこ”のいけいけどんどん時代、予定運用利回りを5%以上に設定して退職年金として後払いにするのは、多めの年金を受取ることができる受給者ばかりではなく企業としても合理的な選択だったし、実際に予定利回りが実現可能な経済環境だったのだ。

しかし経済環境は構造的に変わってしまった。

 年金資産運用を受け持った生保、信託会社等運用受託者のファンドマネージャーのかっての鼻息は見る影もない。
年金資産の運用実績は、リーマンショックで始まった証券市場の悪化により予定利率を遥かに下回り、年金開始の時期によっては元本(年金掛金の累計額)をも割るという事態まで発生している。
その結果、「過去勤務債務」と呼ばれる年金資産積立不足額(「年金資産積立予定額」−「実際の積立額」、企業が今後補填しなければならない負債)は膨大な額になっている。
 一方、「過去勤務債務」を補填している企業の業績、特に内需頼みの中小企業の業績は非常に厳しい状況で、この先の展望も不透明だ。地道に努力しながらじっと耐え忍んでいれば光が射してくる過去の経験則は通用しない、同じことをしている限り売上は減少の一途をたどる構造的に厳しい経営環境になってしまった。
最悪のケースは運用委託企業が破綻したJALのような例だが、JALは巨大ゆえに救済措置があるどちらかと言えば羨ましい部類だ。

 売上増加が望めない企業が利益を確保するためには経費削減しかないが、最大の経費は人件費である。
 人件費に手をつけざるを得ない企業が出てくるに及んで、又、JALの報道を聞いてしまってからは、企業年金の企業負担、特に「過去勤務債務」の負担に対し、今までは漠然と、”社員の為に良いこと”と考えていた現役の社員が、
”限られたパイ(分配原資)を現役と退職者で分け合う構図”
に気付き、ここに、”仁義なき世代間の争い”が表ざたになったのである。

(イ).既に企業年金給付を受けている既退職世代+間もなく給付が始まる世代(団塊)と、
(ロ).「過去勤務債務」の補填が自分たちのペイや生活に影響する現役世代の間に、
”いままで表ざたにならなかった対立がはっきり見えてきた”という訳だ。

みんなが納得する平等な分配はあり得ない。

”退職後の手厚い年金” 、 ”助けあいの社会” 、 ”公共厚生施設の充実”
♪とてもすばらしい事だと思いま〜す♪賛成で〜す♪
ただし、俺も貰えれば〜 or 俺のペイに関係なければ〜 or 俺以外の誰かが面倒みる限り〜

退社した爺さん婆さんへの分配を維持するために俺の取り分を減らすのは → 真っ平ごめん
これが現役の方の偽らざるところだろう。

 さて、
はたして”仁義なき世代間の争い”はこれからどんな展開を見せるのだろう。

”俺は逃げ切ったから関係ないよ〜ん”と思ってる退職世代の貴方、”受給が始まった公的年金”って「確定給付型」ですよん。

願わくは、俺が”反撃不能”な状態まで年とったときには攻撃を控えて何とぞ労わって下さ〜い。m(_ _)m

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